- 2011/11/07 掲載
クラウド・ビッグデータ時代に備えるために必要なことは何か?レガシーシステムの活用を考える (3/3)
【セミナーレポート】これからのSIerはクラウドとビッグデータをいかに活用していくか
オープンソースの積極活用でコスト効率を上げる
最初に登壇したのは松崎氏で、オープンソースのプロジェクト管理ツールである「Redmine」を紹介し、自社での活用事例を紹介した。
「Redmine」はRuby on Railsで開発されたオープンソースソフトウェアで、サポート部門などで活用するチケットシステムをベースにしたプロジェクト管理を行うことができる。ガントチャートなどでスケジュールの進捗管理ができ、文書管理やコミュニケーションウェアとしての機能も持っている。
単体で十分機能するが、たとえば「ZABBIX」のような監視ツール(これもオープンソースソフトウェア)と連携し、システム障害などが発生したら自動的にチケットを発行するような運用も可能だ。また、iPhone向けのプラグインも配布されており、拡張性も高い。同社ではRedmineを実際のプロジェクト管理にも使っているという。
他にもチケットシステムとしての機能を活かし、ユーザー企業とベンダーの問い合わせと回答手配を管理する目的でも利用した事例などが紹介された。
Jenkinsは、大規模開発などで利用するコードのレポジトリの内容を定期的にビルドし、テストを行い、その結果をレポートしてくれるといった特徴がある。同社では、SOBを開発する際にJenkinsを利用して、バグの早期発見や不具合情報の集約などで効果を挙げたという。
東京システムハウスでは、業務としてのソフトウェア開発に、オープンソースツールを積極的に活用している。そして、そこで得られたノウハウをオープンソース環境の導入支援のビジネスにつなげている。
メインフレームもオープンシステムもクラウド移行が進む
IT資産を継続活用するためには、マイグレーションという手法が有効である。清水氏によれば、最近では、メインフレームをオープンシステムに置き換える事例だけでなく、オープンシステムをさらに新しいオープンシステムに置き換える事例が増えているという。一世代前のWindowsシステムや(Linux、BSDなども含む)UNIXシステムや関連アプリケーションが、現在のシステム環境やデバイス環境にそぐわなくなり、新しいオープンシステムに取り換えるという動きあるそうだ。これはオープンレガシー問題として、古くからオープンシステム化を進めてきた企業が直面している問題でもあるという。
さらに、新しいシステム形態として避けて通れないのがクラウドコンピューティングである。これからのシステムリプレースは、メインフレームからクラウド環境へ、旧オープンシステムからクラウド環境へとトレンドが変わってくることが予想される。
同社は、17年来のMMSによるマイグレーションビジネスの経験と実績があり、マイグレーションの方法論は確立されているので、現在はそれをクラウドへ展開するような戦略を進めている。清水氏によれば、クラウドにすると、ハードウェアやソフトウェアが数年で陳腐化してしまう問題を軽減し、プラットフォームの継続性を高めることができるという。これによりトータルなコストダウンが期待できるそうだ。
また同社はMMSをオープンソースに対応させた新たなマイグレーションサービス「MMS for OSS」を発表した。これは、移行後のシステム環境にオープンソースを活用することで、より高いコストパフォーマンスとシステムの柔軟性を得ることができるというものだ。既に基幹システムで利用実績の多いLinuxやJBoss、PostgreSQLのほか、オープンソースCOBOLである「OpenCOBOL」を採用。同社では、既に「OpenCOBOL」を基幹システムで実用可能なものにするため、改修を開始しているという。
同社は、COBOLはもちろんさまざまな言語が実行できるプラットフォームをオープンソースで提供する考え。清水氏は「これからも同社のマイグレーションサービスの進化を約束する」としてフォーラムを締めくくった。
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