• 2011/11/07 掲載

クラウド・ビッグデータ時代に備えるために必要なことは何か?レガシーシステムの活用を考える (2/3)

【セミナーレポート】これからのSIerはクラウドとビッグデータをいかに活用していくか

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柔軟性の高い秘密分散型クラウドバックアップでBCP対策

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東京システムハウス
ビジネスイノベーション事業部
マイグレーションソリューション部
課長
比毛寛之氏
 基調講演に続き、3つのトラックに分かれて12のセッションが開催された。そのひとつが「安全・安心・安価なオンラインバックアップを活用したBCPソリューションのご紹介」という機密データをBCPの視点でいかに保護するかという講演だった。講演者は東京システムハウス ビジネスイノベーション事業部 マイグレーションソリューション部 課長 比毛寛之氏である。

 バックアップは、以前はデータをテープなどの外部媒体に物理的に保存し、ハードウェアの障害に備えるという目的がメインだったが、比毛氏によれば、現在は災害時やシステムダウンに対して、迅速にデータやシステムを復旧させる、あるいはBCPという側面がクローズアップされている。広域災害を意識した遠隔地への分散バックアップのニーズも高まっているという。もちろん、この背景には東日本大震災の影響がある。

 しかし多くの企業は、広域にバックアップ施設を分散させるためのコストや技術の問題から、簡単には分散バックアップは進まない。コストや設備の問題をクリアする方法の1つとして、クラウドを利用するという選択肢がある。この場合、自前でストレージを購入したり設定する必要はなくなるが、クラウド利用の懸念につきもののセキュリティの問題が浮かび上がってくる。

 クラウドデータの情報漏えいなどセキュリティ問題については、通常暗号化が用いられるが、同社が提供する「SOB(セキュア・オンラインバックアップ)」というソリューションでは、セキュリティに秘密分散という技術を用いることでこの問題に対応している。

 秘密分散とは、割符暗号などと呼ばれることもある技術で、データを複数のディスクやデータセンターに分割保存し、その結合は、分散したデータのうちいくつかが揃わないと完全な復号(リストア)ができないようになっている。データを分散させるだけなら、ストライピングと同じだが、秘密分散ではそれぞれが断片化されており、それぞれを復号する鍵は、分散したデータが一定数揃うことにある。仮に断片をひとつ入手しても解読は不可能で、データの秘密は守られる。また、分散データが全部そろわなくても復号できるため、単純な分割保存よりも冗長性が上がる。

 この秘密分散技術を用いたSOBの特徴は、分散させるクラウドストレージについて、Amazonやその他のオープンなパブリッククラウドを利用できることだ。主だったパブリッククラウドのAPIに対応しており、オンラインバックアップのコストパフォーマンスを追求したい場合、この機能は高い効果を発揮する。もちろん、自前のストレージや既に契約しているデータセンターを利用することも可能で、多様なニーズに対して、非常に柔軟性の高いバックアップシステムを構成できるというものだった。

クラウド時代こそメインフレームからの蓄積データを活用すべき

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東京システムハウス
ビジネスイノベーション事業部
マイグレーションソリューション部
リーダ
三浦喬氏
 「マイグレーション最新動向と事例のご紹介」というセッションでは、メインフレームのアプリケーションをオープンシステムに移行させるソリューションに関する講演が行われた。講演者は東京システムハウス ビジネスイノベーション事業部 マイグレーションソリューション部 リーダ 三浦喬氏。

 マイグレーションは、クラウド時代、ビッグデータ時代に向けて既存のデータ資産を活かすために同社が推進している事業分野のひとつである。このセッションでは、いまだに需要の高いメインフレームのマイグレーションを、多数の事例とともに取り上げた。

 三浦氏はまず、JEITAの統計資料から、平成13年以降のメインフレームの出荷金額や台数の推移を説明した。それによると、メインフレームの出荷は年々減少しており、台数ベースで平成22年は450台となり、平成13年と比較して1/3以下に落ち込んでいる。今後も、一部の重要インフラ業務でメインフレームは残るものの、その他のシステムはすべてオープンプラットフォーム、もしくはクラウド環境へと変わってくるだろうと予測しているという。

 同社はこうした動きに対応するため、メインフレームのデータをオープンシステムに移行させるサービス「MMS」および「AJTOOL」というマイグレーションフレームワークを使ったサービスを展開している。これらのソリューションはIBM、NEC、富士通、日立といった主なメインフレームのほとんどの資産に対応し、導入実績も豊富だ。移行先のシステムはLinux、Windowsがメインではあるが、VMwareやXenなどの仮想化環境にも対応できるという。

 もし、蓄積された既存システムの運用のためだけにメインフレームを温存しているなら、マイグレーションによってアプリケ0ションをオープンシステムやクラウドに統合したほうが、大幅なコストダウンや合理化が見込める。そして、企業の事業活動のナレッジの集積でもあるデータ資産を、事業予測や高度な意思決定に活用する道も開けるとして、データマイニングの重要性を説いた。

【次ページ】メインフレームもオープンシステムもクラウド移行が進む
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