『小さなお店のツイッター繁盛論』著者 中村 仁氏インタビュー
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人と人をつなぐ場としての飲食店をとらえ直そう
――Twitterのユーザ間の絆を深めるためのサービス「kizna(キズナ)」を発表なさいましたが、そのアプリの特性や狙いについて伺えますか。また、リリースはいつ頃を予定されているのですか?
中村氏■先ほどもお話ししたとおり、「関係を深める」つまり「絆を深める」ことこそがTwitterの最大の魅力だと思うのですが、私たちの開発している「kizna」 は、まさにその点をより突き詰めていくためのツールです。今のTwitterは、人と知り合うことまではとても便利なのですが、実際に一人ひとりと親しくなっていく上では不便なところがたくさんあります。Twitterは、実は商売で使う上ではとても不便なのですね。kiznaはそれを補い、より快適に人との絆を深めていくための手助けとなる機能をたくさん搭載しました。
これは、豚組で培った経験を元にしており、ある意味「豚組スペシャル」と言えるでしょう。私自身がTwitterを使いながら不便に感じてきた点をすべて解決し、誰でも簡単に豚組と同様にTwitterを活用できるようにすることが目標です。リリース時期ですが、なんとか今年の9月中にはWebとiPhoneアプリの両方をリリースしたいと思っています。
――Twitterで「炎上」を経験なさったことについても本書では書かれていますね。「炎上」に関して、ビジネスなどでTwitterを活用している人たちにアドバイスはありますか?
中村氏■炎上しないように細心の注意を払うことはとても大切なのですが、炎上を恐れるがあまり、自分たちの手足を縛ってしまうような取り組み方では、Twitterで結果を出すことは難しいのではないかと思っています。炎上したとしても、誠意を持って対応すれば「わかってくれる」のがTwitterの良さでもありますから、まずは自分らしさを出すことを大切にすべきなのではないでしょうか。また、Twitterでは「嘘」や「ごまかし」は通用しないと思った方がいいです。炎上したときも小手先でなんとかしようとするのではなく、真っ正面から真摯に取り組むことも大切ですね。
――今後、豚組がTwitter上でやろうとしている面白い仕掛けなどがございましたら、お聞かせください。
中村氏■まずはkiznaを出すことで、一人でも多くの方がTwitterを快適に使いこなせる環境をご用意したいと思っています。それが一段落したら、iPhoneやiPad向けの豚組アプリなども計画中です。いずれも、お客様とお店、あるいはお客様同士のコミュニケーションを加速していくことが目標です。飲食店は「コミュニティ作り」であるという思いは、私の中では日々強くなっています。そしてそれを支えるインフラの1つがTwitterです。そういう考え方で、より多くの人たちが豊かな人間関係を作ることができるようなお手伝いができればいいなと思います。
――これからの飲食業界、あるいは飲食を目指す人たちにメッセージをお願いできますか。
中村氏■高齢化、人口減少など、飲食業界を取り巻く環境はこれからますます厳しくなっていくはずです。しかし、実は「コミュニティビジネスとしての飲食店」という分野は、まだまだ手つかずになっているのではないでしょうか。お料理や接客が大切なのは言うまでもありませんが、それだけに安穏としているのではなく、人と人とをつなぐ場として飲食店をとらえ直し、面白いことをやっていく仲間が増えたら、食文化は一層豊かになっていくはずです。そんな思いに共感できる方が、もっともっと増えていってほしいですね。
●中村 仁(なかむら・ひとし)
1969年東京生まれ。1992年立教大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社、テレビ本部で営業企画などに関わる。1995年、米系広告代理店オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン入社。日本IBMとロータスの広告とブランドマーケティングを担当し、アカウントエグゼクティブ、アカウントプランナーを経てプランニングマネージャーを務める。1998年同社退社、その後独立。フリーでマーケティングの仕事を手がけた後、2000年に西麻布に「居酒屋せいざん」を開店し、グレイスを設立。現在は港区を中心として「豚組」「壌」など、個性・コミュニティ・文化をテーマにした飲食店を5店舗運営中。最近は、ネット時代の新たな食文化を築き上げるべく、これまでの経験をもとに「ネットと飲食店の幸せな結婚」の実現を目指している。Twitterのアカウントは@hitoshi。
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