『小さなお店のツイッター繁盛論』著者 中村 仁氏インタビュー
0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
『小さなお店のツイッター繁盛論 お客様との絆を生む140文字の力』(日本実業出版社)が話題だ。この本では、Twitter(ツイッター)を活用して飲食店がどのように客とつながり、そして向き合っていくかについて、豊富な事例を通して論じられている。多くのヒントに満ちた本書について、その著者であり、個性的な飲食店「豚組」「壌」などを運営するグレイスの代表取締役・中村 仁氏にお話を伺った。
Twitterによって店をお客様に育てていただくという発想
――豚組の経営者としてご活躍中の中村さんが、Twitterの本を出すことになった経緯をお教えいただけますか。
中村 仁氏(以下、中村氏)■そもそもは、今年2010年の2月に豚組でのTwitterの活用法についてのセミナーをやらせていただいたことがきっかけです。それをネットで中継したところ「面白い!」「本にまとめて!」などの感想をTwitter上で多数いただきまして、さらにTwitter上で編集の方とも出会い、あれよあれよという間に出版の話が進んでしまったのです。本の内容だけでなく、その本を出すことになった経緯までひっくるめて全部Twitterで進んだという、まさにTwitter尽くしの本と言えるのではないでしょうか。
――この本を読んでいて、飲食店の特性とTwitterの特徴を巧みに活用していると感じました。このような発想はどうやって作り上げていったのでしょうか?
『小さなお店のツイッター繁盛論』
中村氏■Twitterをやり始めた当初は、これが飲食店と相性が良いこともわかっていませんでしたし、そもそも商売に使おうともまったく考えていませんでした。しかし、 面白がってTwitterを続けているうち、だんだんとTwitter経由でお客様が来店してくださるようになりました。「あれ? Twitterって、意外と飲食店とも相性が良いのかな?」と思ったのは、僕自身、そういう流れを目の当たりにして初めて知ったことです。なので、Twitterの活用方法も、自分で考えたというよりも、むしろ使いながら皆さんに教えていただいたという方が正しいのではないかと思います。
――Twitterを活用してみて、豚組の利用客からの反応にはどのようなものがあったか教えてもらえますか?
中村氏■Twitterをやっていて本当に嬉しいと思うのは、お客様がお帰りになった後に「ごちそうさま!」という一言をTwitterで寄せて下さることです。今まで、 そうやってお客様がお店に気軽に「ごちそうさま」と伝えられるようなメディアはありませんでした。お客様からしたらそれは何気ない一言かもしれませんが、それでもこの一言をいただけるのは、飲食店を営んでいる私たちにとって、極めて画期的でインパクトのあることなのだと感じています。「ごちそうさま」は私たちのモチベーション向上にもつながるし、そのお客様とTwitterで会話を続けていくきっかけにもなるのですね。
――実際にTwitterをやっていて、中村さんご自身がその醍醐味だと感じられるような点はどのあたりにあるのでしょうか?
中村氏■Twitterは、140文字の制限を筆頭に、実はとても「不便な」仕組みになっています。しかし、その不便な仕組みこそが、人と人の会話を促進してくれるという特徴があるのですね。Twitterの魅力は「つながること」だと言われますが、 実は単に「つながる」だけでは、そこからは何も生まれません。Twitterの本当の醍醐味は、会話を促進することによって、「関係性を深める」ことにあると思っています。
実際、私自身、Twitterによって多くの尊敬できる方や共感できる方と親しくなり、生活が本当に豊かになりました。それはお店も同じです。お店の思想や哲学に共感してくれる方と出会い、一緒にお店を育ててもらえる。 お店にとって、これほど幸せなことはありません。
次ページ >> 人と人をつなぐ場としての飲食店