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  • 2024/09/25 掲載

SearchGPTとは何かを解説、なぜGoogle検索が「もう不要」と言えるのか

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OpenAIが今年7月に発表した検索AI「SearchGPT」。新たな検索体験を提供するサービスとして、Googleの牙城を崩すのかが注目されている。直接的な競合関係となるGoogleに頼らないウェブ検索の仕組みとはどのようなものか。そしてSearchGPTの登場により、Perplexityなど既存の検索AIはどう影響を受けるのか。SearchGPTの技術的な特徴とともに、検索AIをめぐる業界動向も解説する。
執筆:細谷 元
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Googleの立場を脅かすSearchGPTの実力とは
(Photo:Koshiro K / Shutterstock.com)

ついに「直接対決」のOpenAIとグーグル

 今年7月、OpenAIが新たな検索機能「SearchGPT」を発表した。

 これまでChatGPTでもウェブ検索が可能だったが、SearchGPTは検索体験をさらにスムーズにする機能だ。現在プロトタイプが試験運用されており、ウェイトリストで試験版利用者を募っている。

 具体的にSearchGPTがどのような検索体験となるのか、実際使ってみるまで分からないところだが、OpenAIの最近の動きから、その仕組みを推察することができる。

 これまでのChatGPTにおけるウェブ検索は、おそらく、ファンクションコーリングによるウェブ検索APIの呼び出しにより実行されていたものと思われる。

 ほとんどのウェブ検索APIは、グーグル検索を行っている。つまり、バックエンドでは、GPT-4をベースとするエージェントシステムが動いており、そのエージェントの1つが、ウェブ検索APIにより、グーグル検索を実行していたと考えられるのだ。

 SearchGPTをリリースすることで、グーグルと直接的な競合関係となることを考えると、グーグル検索に依存する仕組みを採用することは考えにくい。

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SearchGPTのリリースで、OpenAIはグーグルとの直接的な競合関係になると考えられる
(Photo:Ascannio / Shutterstock.com)

 そこで登場するのが、OpenAIが今年6月に買収したスタートアップ企業Rocksetだ。

 Rocksetは、リアルタイムのアナリティクスデータベース技術を開発する企業である。OpenAIは、このRocksetの技術を活用することで、グーグルに依存しない独自の検索システムを開発することが可能になる。

 Rocksetの技術は、SearchGPTに重要な機能を提供すると考えられる。まず、Rocksetの技術により、OpenAIは大量のデータをリアルタイムで処理・分析する能力を獲得。これは効率的なウェブクローリングと最新情報の即時インデックス化を可能にする。また、Rocksetはさまざまなデータソース(Kafka、MongoDB、DynamoDBなど)からのデータを扱える。これにより、OpenAIは多様なウェブソースからの情報を収集・統合する能力を強化できるようになった。

 さらに、Rocksetの高速インデックス化とベクトル検索機能は、クローリングしたデータの迅速な検索と分析を可能にする。

 たとえば8500以上のドキュメントに対して15ミリ秒で上位5件の結果を返すような高速検索が可能になるのだ。加えて、Rocksetはベクトル検索と従来のメタデータフィルタリングを組み合わせることができ、これにより検索結果の精度と関連性をさらに向上させることもできる。Rocksetのスケーラブルなアーキテクチャも、SearchGPTのような大規模システムの運用には不可欠だ。

 もしこのように、グーグルに依存しない検索システムが広く使われるようになると、グーグルの検索市場における優位性は揺らぐことになる。また、SEOのあり方も大きく変わる可能性があり、さまざまな変化が起こると予想される。

AI検索におけるグーグルの「失敗」とは?

 ChatGPTは今年5月時点で、アクティブユーザー数が2億人、Webサイトへの月間訪問者が18億人と、多くのユーザーが利用するアプリケーションとなった。一方、既存の検索機能は限定的であるため、検索ではPerplexityやグーグル検索を利用するなど、使い分けるケースがほとんどだ。

 しかし、SearchGPTがPerplexityやグーグル検索と同等、またはそれ以上の検索体験を可能にするとなると、様相は大きく変わることになる。ChatGPTユーザーは、検索でもツールを替えることなく、そのままSearchGPTを使うことになり、ほかのアプリケーションを利用しなくなってしまうからだ。

 検索市場で独占的な地位を占めるグーグルは、その地位を維持するための施策を打ち出しているが、その道のりは決して平坦なものではない。

 今年5月のワシントンポストの報道によると、グーグルはこの報道の2週間前に米国のユーザーに対してAI生成の回答を検索結果の最上位に表示する機能を導入した。しかし、この機能は、ピザに接着剤を塗るように指示したり、バラク・オバマ氏がイスラム教徒だと伝えたりするなど、多くの批判を招いてしまったのだ。

 これを受けて、グーグルはこのAI検索機能を縮小することを決定。同社の検索部門責任者であるリズ・リード氏は、ブログ投稿で「AI Overview」と呼ばれる同機能の縮小を表明、AI回答の情報源としてソーシャルメディアの投稿を使用する頻度を減らし、健康関連トピックの回答を一時停止したと述べている。

 この問題は、大規模言語モデル開発における課題の1つであるデータ品質に関するものと言える。グーグルはこれを契機にデータ品質改善に向けた取り組みを拡大しており、今年6月末には、ThomsonReuters、Moody's、MSCIなどの第三者サービスと提携し、モデル出力の裏付けとなる質の高いデータを利用することを発表した。

 これらの取り組みにより、グーグルはAI検索機能の精度向上を図り、OpenAIのSearchGPTに対抗する構えだ。 【次ページ】SerchGPT登場で脅かされる「あのAI」
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