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  • 2024/06/17 掲載

生成AIで検索市場が大変革、グーグル対抗の「Perplexity」が月40%も大躍進のワケ

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生成AIの登場により、検索市場が大きく変わろうとしている。米国ではグーグル対抗のAI検索エンジン「Perplexity」の検索から流入するトラフィックは毎月40%増加していることが判明。日本でもソフトバンクと連携して本格参入することが明らかになった。これに対抗してグーグルも生成AIを活用した検索システム「Search Generative Experiences(SGE)」を利用者全員に早期に展開する見込みだ。生成AIによる検索が増えるとSEO(Search Engine Optimization)にどのような影響が出るのかは多くのデジタルマーケターが注目するところ。生成AIの登場で、検索市場に何が起きるのか。
執筆:細谷 元
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グーグル対抗の筆頭格はPerplexity
(Photo:Robert Way / Shutterstock)

生成AIによって変わるWeb検索の世界、SGEとは?

 1年ほど前、ChatGPTの登場で、グーグルの検索市場における優位性が揺らぐのではないかとの憶測が広がった。実際、マイクロソフトの検索エンジンBingがGPTによってアップグレードするなど、グーグルの優位性を脅かす要因は多数散見された。しかし現在のところ、グーグルの優位性に大きな変化は見られない。

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Bingのシェアがじわじわと伸びて、グーグルはじわじわ下がっている
(出典:Statcounter)

 それでも競合の追い上げは無視できない。検索市場におけるリードを維持するため、グーグルも検索エンジンと生成AIを融合させ、検索体験を大きく改善するための取り組みを加速させている。

 特に注目すべきは、グーグルが現在ベータ版で開放している検索体験「Search Generative Experiences(SGE)」だ。これはAIを活用した新しい検索モデルで、Web上の既存コンテンツを整理・提示するだけでなく、検索結果を基に新たなコンテンツを生成するシステム。

 生成AIを活用し、フォローアップの質問や購入手続き、また複数の検索結果の要約などを可能とするもので、検索体験の向上が期待されている。グーグルはSGEを全ユーザーに開放する正式リリース日を明言していないが、2024年中にリリースされるのではないかとみられている。

 これに伴い、一般ユーザーの検索体験だけでなく、SEOのあり方も大きく変わる可能性があり、マーケティング担当者も注視している取り組みだ。

 SGEの検索結果には、以下のようなさまざまなモジュールが用意されており、検索するトピックによって、特定のモジュールによるコンテンツが表示されるようになっている。

  • Unordered Lists(順不同リスト):さまざまなアイテムを箇条書きにしたリスト。説明の有無にかかわらず表示される
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    順不同リスト
    (出典:グーグルSGE
  • Ordered Lists(順序付きリスト):特定の目的でランク付けされたリスト。説明の有無は、キーワードの性質による
  • Recipes(レシピ):料理や食品の調理に関する検索に対して表示される「レシピカード」。簡潔で構造化された情報を提供する
  • Product Views(製品ビュー):検索される製品の性質に合わせて、さまざまな方法で製品を表示する。ユーザーエクスペリエンスの向上をはかる

 これらのコンテンツモジュールは、SGEがさまざまな検索意図に対応し、多様な分野で関連性の高い情報を提供できるように設計されている。また、SGEでは、モジュールに加え以下のような共通の機能も提供される。

  • Answer Box(回答ボックス):検索結果の最上部に配置され、検索に合わせてAIが生成したコンテンツが表示される。情報ソースへのリンクもつく
  • Source Panel(ソースパネル):Answer Boxの下部に配置され、生成された回答の情報ソースとなったWebページ(最大10件)へのリンクが表示される
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    回答ボックスとソースパネル
    (出典:グーグルSGE
  • Additional Questions(追加の質問):SGEの検索結果の下部に配置され、関連する検索クエリが表示される。これを選択すると、会話形式で新たな検索がスタートする
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    追加の質問
    (出典:グーグルSGE

 SGEは現在ベータ版であり、時期によって、これらのモジュールの登場頻度が変動することが、BrightEdgeの調査で明らかになっている。傾向としては、順不同リストやローカル情報がよく登場するという。

グーグルに挑戦するPerplexity、その影響

 グーグルが検索エンジンと生成AIの融合を進める背景には、やはり競合の動きがある。GPTとBingの融合を進めたマイクロソフトの存在は無視できない。また広告領域では、メタの動きも気になるところだろう。これに加え、最近では、スタートアップによる追い上げも熾烈化している。

 特に注目されるのが生成AIによる検索体験の革新を目指すPerplexityだ。同社は2022年8月に設立されたばかりのスタートアップ。2024年4月末時点で評価額はすでに10億ドルに達しており、4月時点では25億~30億ドルの評価額で、2億5,000万ドルの資金調達を行っている。

 Perplexityは、大規模言語モデル(LLM)をベースとした「回答エンジン」を開発・提供している。従来の検索エンジンとは異なり、ユーザーの質問に対し、AIが直接回答を生成することができるのが特長だ。

 Perplexityの共同創業者でCEOのアラビンド・スリニバス氏は「グーグル検索では求める回答が得られないことが多い」と指摘。同社の回答エンジンは、ユーザーの質問を理解しつつ、求める回答を直接生成可能だという。

 実はここにきてPerplexityの影響力が猛烈に高まっている。SEOプラットフォームのBrightEdgeによると、3月末時点のPerplexityは、40%を超える驚異的な月間成長率を記録。最新情報によると、月間アクティブユーザー数は1000万人を超えた。

 もちろん巨人グーグルに比べるとまだまだ小さな存在だが、その成長率は目を見張るものがあり、SEO専門家やブランド企業も注目せざるを得ない状況になっている。

 BrightEdgeの調査では、10億ドルを超える規模の企業のうち、17%がすでにPerplexityの機能を調査していることが判明した。

 SEO界隈では、競争力を維持するために、Perplexityのインデックス作成やコンテンツ解釈の手法に合わせて、SEO戦略を適応させることが不可欠だと認識されるようになっている。

 Perplexityは広告主導のモデルではなく、ユーザーファーストのアプローチを取っている点も特徴的だ。たとえば、「Your Threads」と呼ばれる機能では、過去の検索履歴を保存することができ、GPT-4を活用した「Copilot」機能で対話的な検索サポートを提供している。 【次ページ】最新調査で分かった、生成AIWeb検索の傾向
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