- 2025/04/24 掲載
アクセンチュア流「パートナーAI」の採用方法、圧倒的な差を出す3ステップとは?
連載:アクセンチュア流 生成AI産業変革論
通信業界の変化、ネットワークも自律運用へ
これまでの通信業界では、莫大なコストがかかるネットワーク維持・運用の「デジタル化」を推進しながら、社会基盤としての安心・信頼を強みに、低価格・高品質なネットワークサービスを提供し、そこで得られた顧客接点を生かして新たなサービス・体験を構築してきた。しかし、コストのかかっていたネットワークの運営・維持・計画における判断や情報提供を生成AIが担えるようになったことから、究極的には専門知見が不用になり、人は物理的なオペレーションのみを担うようになる。その結果、現状のネットワークの運営や維持管理のコストは大きく低下することが予想される。
情報通信ネットワークのオペレーション標準化団体で、通信IT業界の800社以上が加盟する「TM Forum」でも今、ネットワークの自律運営を表すオートノマスネットワーク(図表1)がキーワードになっている。
上記の図が表すように、通信サービスのユーザーからの要求を理解し、対応についての意思決定も含めて自動化することで、ネットワーク運用を丸ごと自律化しようという試みが世界的に始まっているのだ。
実際、ある中国の通信事業者は生成AIにより事前にトラフィックが集中するイベントを検知し、過去のデータから事前に障害を予測することで、障害発生リスクを低減している。
加えて、アラート検知や障害の初期評価など障害発生時の初期プロセスにおいて生成AIを用いて無人化を実現し、ネットワークエンジニアを削減。こうした業務効率化によって余剰となったネットワークエンジニアをフロント部門(法人営業など)に配置することで、(売り上げの)トップライン向上も狙っているという。
個別最適な提案してくれる「パートナーAI」
また、生成AIは従来のAIと異なり非構造データの解釈も可能なため、豊富な顧客情報を有する企業は、今以上にサービスや製品の最適構成・カスタマイズや、関連タスクの実行までが可能になる。たとえば、ドイツテレコム(T-Mobile)は、ユーザーのパーソナルAIエージェントである“Magenta AI”を提供している。
“Magenta AI”は、現状、AI検索エンジンであるPerplexityなどを呼びだして、ユーザーの質問に対して検索・即時応答ができるが、今後、ユーザーに代わってレストラン予約、交通手配、メール要約、翻訳などのタスクを実行し、他社サービスを含めたさまざまなAIサービスとユーザーをつなぐインターフェースの役割を果たすことを狙っている。
こうしたユーザーの意図・志向を解釈・理解して、最適なサービスにつなぐ、タスクを自律的に実行してくれるような「パートナーAI」の構築・覇権争いが今後激化することだろう。ここからは、パートナーAIとの向き合い方のポイントを解説する。
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