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生成AIを中心とするAIブームが過熱する中で、AI人材の争奪戦が激化している。メタのマーク・ザッカーバーグCEOがお目当ての人材に直々にメールで勧誘する「三顧の礼」を尽くす一方、テスラの総帥イーロン・マスク氏は「AI人材を引き抜かれないよう苦労している」とこぼすほどだ。その報酬額も高騰しており、入門レベルでも10万ドル(約1,570万円)、高レベルには100万ドル(約1億5,700万円)近くなるという。そこで今回、データや逸話などを読み解き、AI人材争奪戦の傾向と実態を分析する。
AI利用率「20→72%」、生成AIは「1年で倍増」
OpenAIのChatGPTが火をつけた世界的なAIブームは、衰えを知らない。米コンサルティング企業のマッキンゼーの
調べによると、世界の企業や組織におけるAIの利用率は、2017年の20%から2024年には72%に達した。生成AIでは、2023年の利用率33%が、2024年には65%と倍増している(冒頭の図1)。
またAIブームの主要なけん引役を務めるマイクロソフトの
発表では、同社アンケート調査の回答者のうち、75%が「生成AIを実際に仕事で使っている」と答え、そのうち46%が「生成AIを使い始めたのは、過去半年の間」とするなど、将来的な需要が急速な成長を続ける可能性が示唆されている(図2)。
このようにAIの利用率が高まる中、テック大手各社はAIの需要持続を予想し、AIこそが「次なるメシの種」と見定めた。そして、データセンターの大量建設やAI対応のデバイス・半導体の開発などハードウェア面での対応を加速させている。
一方、ソフトウェア面では、LLM(大規模言語モデル)開発やAI演算処理に適したGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)向け開発環境の整備、AIフレンドリーなクラウド環境の構築、AI検索エンジンの開発、プロンプトの開発・最適化(プロンプトエンジニアリング)、そして究極的なAGI(汎用人工知能)の構築など、需要の高まりとともにAIのエンジニア不足が顕著となっている。
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