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米テック業界で仕事を得るのは狭き門だが、その競争はますます苛烈になっている。そうした中、米IT大手各社への求人応募人気ランキングが明らかになった。意外なことに、最も人気なのはGAFAMではなく日本でも有名な「あの企業」であった。このランキングからIT各社の企業文化や米労働市場について何が読み取れるのか、分析する。
まずは「GAFAM」の順位を確認
今回の
年次調査を実施したのは、履歴書作成などで求人応募者のキャリア積み上げを支援するResume.ioだ。2023年10月に発表した番付は、LinkedInに有力企業が出稿した求人1件に対し、1カ月の期間中に1日何件の応募があるかを計測。その平均値を割り出したものだ。
その集計結果から見えてきたのは、アマゾンやマイクロソフト、メタ・テクノロジーズ、グーグル、アップルのGAFAM人気の高さだ(図1)。
まず、2位につけたアマゾンは求人1件につき1日あたり73.25人が応募していた。同社の採用方針である「優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために積極的に活用」が人材を引き付けるのだろうか。
これに、3位のマイクロソフトが57.9人、4位のアップルが53.74人、高給で知られるメタが5位の52.42人で続く。グーグルを傘下に持つアルファベットは意外なことに8位で32.65人にとどまった。
アマゾンやグーグルは“どこから”来て“どこに”転職するのか?
人材の流動性が高い米テック業界だが、これらGAFAMへの就職者はどの企業から「引っ越し」をしてくるのだろうか。
2023年11月に米調査企業Switch on Businessが2007年から2022年の数字をまとめた
調査によると、その15年間にアマゾンへ転職した従業員の供給元で1番規模の大きかったのはマイクロソフトで6089人だった(図2)。これは、本社が同じシアトルであることが関係しているかもしれない。
一方、アマゾンから次の会社へ転職した際に最も多かった企業はグーグルで、8023人が移っていた。アマゾンからの転職先の2位はマイクロソフトであり、5837人である。両社の間では、ほぼ同じ人数が入れ替わっていたことになる。
翻って、特異なのがグーグルだ。
企業モットーの1つが「スーツがなくても真剣に仕事はできる」だが、転職してくる従業員の数が、流出する人数よりも圧倒的に多い(図3)。
2007年から2022年の間にマイクロソフトから1万2018人が流入する一方、マイクロソフトへ流出したのは2690人に過ぎない。待遇面などでより魅力的である可能性を示唆している。
ここまでGAFAMへの就職希望者の人気ランキングや、GAFAM内での転職パターンの一部を見てきたが、ここからは米テック業界全体の就職先人気ランキングに話を戻そう。
まず、7位にEV大手のテスラが入っていることが目を引く。「仕事の鬼」と恐れられるイーロン・マスク氏が総帥として率いる企業だが、従業員に対するストックオプション(持ち株付与)などが魅力なのかもしれない。意外なのは、AIブームの中で今を時めくNvidiaが11位にとどまったことだ。もう少し時間が経過すれば順位が上昇する可能性がある。
そして、調査結果で最も注目されるのは、1位がGAFAMではなかったことだろう。求人1件に対し、1カ月の期間中に1日84.87件もの応募を集めて人気ランキング1位に輝いたのは、「あの企業」だった。
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