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米国時間の3月5日火曜日、米大統領選挙は候補者選びのヤマ場を迎える。共和党の最有力候補は前大統領のドナルド・トランプ氏だ。米国では、11月の本選でも勝利するのはほぼトランプ氏になるだろう(ほぼトラ)との見方が強まっている。同氏のテクノロジー分野における不規則発言が目立つが、大統領に返り咲いた場合、半導体やEV、再エネ電力網、デジタルドル、SNS、中国とのIT競争などテクノロジー分野でどのような政策を実施するのか。最新の発言や、1期目の「実績」を基に予測する。
日本排除もあり得る、政策の基準は「アメリカファースト」
トランプ氏は今回の大統領選において、EV敵視や、中央政府デジタル通貨(CBDC)、すなわちデジタルドルの否定などを続けている。そのため、テクノロジーの進化を受け入れない、守旧的な考えを持つ老人と見られることもある。
だが、2017年6月にテック大手の経営者を集めた「最先端技術リーダー会議」で、トランプ氏は「次世代テクノロジーのブレークスルーは我々の生活と国の姿を変容させ、その分野で米国をナンバーワンにするだろう」と
演説するなど、必ずしもイノベーションを否定しているわけではない。
言い換えれば、アメリカファーストの基準から外れる場合、中国であれ、同盟国の日本・韓国・台湾・ドイツであれ、関税率引き上げや貿易障壁で排除に動く。なぜなら、トランプ氏はイノベーションを、自由貿易・グローバル化推進や環境保護のためではなく、「米国人労働者やその家族のために莫大で新たな富を創造する」ためのものだと規定しているからだ。
それが米国人有権者にウケが良い。「大卒の都市部エリートの権益を代表する党」へと変貌する民主党に代わって、「労働者の権益を代表する党」としての共和党への支持を増やすと考えられているのだ。
【半導体政策】台湾・中国への圧力は?
米国の産業を将来的に圧倒するかもしれない国や地域に対し、容赦なく圧力をかけるのが、トランプ前大統領だ。
たとえば、2023年7月のインタビューで「大統領に返り咲いた後、中国が台湾を侵攻した場合、台湾を軍事的に守るか」との質問に対し、直接答えずに、「台湾は米国の半導体ビジネスを全部奪ってしまった。我が国は、自国で使う半導体をすべて自給していたのに、もはや我々が使う半導体の90%は台湾で製造されている」と述べ、米国の経済的利益を侵食する貿易相手として、台湾を
論じた。さらに、「米国は台湾を止めるべきだった。(台湾製半導体に)関税を課すべきだった」と付け加えた。
ただ2023年9月のNBC放送とのインタビューでは、台湾有事の際に米軍を派遣することについて、
否定はしなかった。
とは言え再選されれば、台湾防衛の代償として、台湾半導体大手のTSMCが400億ドル(約6兆円)を投じて西部アリゾナ州に建設している
工場のさらなる拡張を迫る可能性がある。そのため、2030年までに世界の先端ロジック半導体の約20%を米国内で生産するとのバイデン現政権の
目標は、第2期トランプ政権でさらに強化されていくのではないだろうか。
一方、中国に対しては、トランプ前大統領が1期目の在任中である2019年5月に、華為技術(ファーウェイ)を国家安全保障上の脅威とみなし、同社通信機器の米国内での販売を禁じる
大統領令に署名した。2020年5月にはさらに踏み込んで、ファーウェイが米国の技術やソフトウェアを用いて米国外で半導体を設計・製造することについても禁止。こうして、米半導体産業の新たなライバルである中国企業を萌芽のうちにつぶそうとしたのだ。
ジョージタウン大学で政治学の教鞭を執るエイブラハム・ニューマン教授と、ジョンズホプキンズ大学で国際関係を教えるヘンリー・ファレル教授は2023年10月にニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、「(バイデン政権がトランプ前政権から継承して発展させた)対中半導体禁輸政策は、第2期トランプ政権によってさらに厳格化されるだろう」と
予測。具体的には、「(世界で需要が高まる)米国設計のAI向け特殊半導体にとどまらず、あらゆる米国の先端テクノロジーに中国がアクセスすることを禁じる」ことが予想されるという。
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