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- 2024/02/19 掲載
共和党予備選でトランプ圧勝、再選なるか?“ブランド”の強さvsバイデン徹底比較
共和党支持層の3分類、2016、2020年との比較
(2)「迷いつつトランプ支持派」=50%前後を占める最多層。2016年2020年大統領選ではトランプに投票、今回もバイデン政権を阻止できるなら彼に投票するが、ほかの選択肢も考慮する。
(3)「絶対に反トランプ派」=10%。主流報道が「共和党内の分裂」として誇張しがちなこの層は、実は1割しかいない(党員集会に参加するほどの熱意はない)。
(1)の基盤層は「熱意」が違う。マイナス25度という記録的極寒のなか、アイオワ党員集会でトランプに投票した人の8割がMAGA運動に関わる(CNN入り口調査)。ニューハンプシャーではMAGAは35%だが、トランプ投票者の8割が「彼を大好きだから」を動機にあげる。
一方、ライバルのヘイリー支持者は「本人が好きだから」が3割、「トランプが嫌い」が4割と、消極的な選択が多い。
この(1)に加え、(2)「迷いつつ」派がこの8年間で補強・補充されたことが重要な意味をもつ。アイオワでのトランプ支持を2016年党員集会と比較すると(図表1)、もともと強い「非4大卒」に加え、党員集会の参加経験がある共和党本来の支持層、「保守派」、「白人宗教右派(福音主義者)」など、かつては必ずしもトランプ支持ではなかった共和党中核の各層で大幅に増えている。
トランプが熱狂的に忠実な支持基盤を惹きつけるワケ
トランプの強みは“ブランド力”にある。支持基盤を維持しながら、選挙環境の変化に対応し、かつ環境自体を有利に設定するのだ。実際、報道や政界の予測を裏切り、ヒラリー・クリントンに圧勝した2016年大統領選当時から、トランプのブランド力は注目されていた。
業界専門誌Marketing Weekは、トランプのマーケティングの特色として、(1)パーソナリティの力、(2)ライバルから酸素を奪う、(3)感情が理性に勝つ、(4)許容できるものはどこまでというルールを変更する、(5)観客の共感の5点を指摘した。
ビル・クリントン大統領のブランド戦略を担当したホイットマンは、トランプが一流ブランドの3大要素すなわち、本物感・一貫性・感情的共鳴を備え、強い感情である「混沌(こんとん)とした怒り」のブランドを確立していると語った。
そのブランドが熱狂的に忠実な支持基盤を引きつけ育てるとともに、常識を飛び越えて敵のバランスを崩しつつ周囲を圧倒する。それが有権者の合理性や政策選好を超越し、トランプとの深い感情的絆を作ると評した。
事実2016、2020年の大統領選候補ブランド力調査(Fortune.com, 2020.1.21)によれば、知名度や好感度を表す「ブランド地位」と、差別化や顧客との関連性を表す「ブランド強度」の2指標からなる「ブランド力」において、両年ともトランプがトップ、特に2020年では他候補と異次元の強さで「リーダー」ブランドに成長した。 【次ページ】ブランド力で負けるバイデン、共和党対立候補分析
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