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- 2024/10/31 掲載
好感度高いのに…急失速のハリス、なぜトランプに勝てない?決定的な「物語」の差とは
大接戦の行方を左右する「説得可能」者たち
2020年選挙同様、トランプ対バイデンの再対決と思われていた今回選挙。予備選では両候補が圧勝したが、有権者の2割は、トランプもバイデンも選ばない「ダブルヘイター」だった。党派二分化が進む米国では、多くの有権者が投票先を迷わない。両陣営が狙うターゲットは、この2割の人々、特にペンシルバニアなど7つの激戦州(注1)で、選挙最終盤に「投票先未定」(5%、200万人)、あるいは「投票に行くか分からない」(11%、500万人)というわずかな「説得可能」者たちだ。彼らはどちらの候補を選ぶのか。それが大接戦の行方を左右する。なお、激戦区としてネブラスカ第2選挙区を含めることも多い。ネブラスカは「勝者全取り型」の全米で例外的に、得票率によって州選挙人を比例配分する。僅差の選挙では、この僅かな選挙人数の差が勝敗を分ける可能性がある。
有権者分析の専門家は、ダブルヘイターには2種類あるという。1つは、トランプの強引な政治手法や非常識な言動を嫌い、彼への投票を今回は止めた共和党支持者と無党派、2つ目は、トランプは嫌だが、バイデンの高齢や経済失政が不満で、彼にも行けない民主支持者と無党派だ。
このダブルヘイターが大きく動いたのは、6月末のトランプ対バイデンの候補者討論会で衰えを隠せなかったバイデン(写真)が、候補辞退に追い込まれたときだった。8月民主党大会で副大統領ハリスが代わって候補指名されれば、選挙の力学が大きく変わるからである。
9月から「怒涛の追い上げ」を見せたハリス
ハリスはトランプと対照的だ。20歳ほど若く、地方検事出身(トランプは6件の重大な刑事訴訟の被告)、正大統領候補として初の有色女性、中道バイデン・極右トランプに対峙(たいじ)する左派、人工妊娠中絶権など女性の権利擁護の活動家。またトランプと違って、軽易即妙なやり取りが下手でぎこちなく、感情的絆をもつファンもいない、「史上最も不人気な副大統領」でもあった。7月の共和党大会直前にトランプ暗殺未遂事件が起きると、拳を振り上げ、強さと健在ぶりを誇示する彼の姿に、共感と支持が急増した。トランプ政権復活の「確トラ」論は、もはや既定路線かに見えた。一方、民主支持層も新候補登場で活気づき、9月には熱意や支持率でハリスとトランプは互角に並ぶ。ハリスは、主流メディアや若者SNS、テイラー・スウィフトなど著名インフルエンサーの支援(写真)も手伝って、民主寄りのダブルヘイターは、迷いを吹っ切ったかに見えた。
しかし10月になると、ハリスは失速する。 【次ページ】なぜハリスは失速?
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