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  • 2024/04/12 掲載

「確トラ」にちょっと待った、破綻する?トランプ揺るがす3つの分岐点

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11月の米国大統領選挙は、4年前と同じ顔ぶれ、しかも81歳の高齢で支持率4割そこそこの不人気な現職バイデンと、刑事民事6件の訴訟を抱え、国の内外で物議を醸す前職トランプとの再対戦。その現在地とトランプの強さについて解説した前編。後編は、しきりに報道される「確トラ」は“盤石でない”3つの理由について解説する。
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ウィスコンシン州の集会でのトランプ
(写真:ロイター/アフロ)

読めない「無党派」と両党の基盤支持層の「造反票」の動向

 トランプの勝利が確実ではないといえる理由は3つある。1つ目は、党予備選の結果だけでは読めない「無党派」層(全米有権者の3割強)がどちらに行くかということ、そして両党の基盤支持層の「造反票」の動向だ。

 共和党に有権者登録しなくても共和党予備選に参加できるニューハンプシャー州では、出口調査によると、共和党支持(投票者の5割)の3/4がトランプに投票、一方無党派(4割)中の6割はヘイリーを選んだ。激戦州ノースカロライナでは、共和党支持(投票者の6割)の9割弱はトランプに、一方無党派(3割強)の過半数はヘイリーを選んだ。

 無党派や、共和党支持者でも中道穏健派は、ヘイリー支持の動機として「トランプが嫌だから」が多い。共和内の反トランプ、「造反」は、全米世論調査でもおおむね2割いる。彼らは無党派と違って本選挙でバイデンに投票はしない。しかし党大会で造反の声を上げたり、ロバート・ケネディ・ジュニア候補など第3極に流れる可能性がある。

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24年大統領選挙の「第3極」 ロバート・ケネディ・ジュニア(右)と副大統領候補のニコル・シャナハン(左)

 ロバート・ケネディ・ジュニア(70)は、ジョン・F・ケネディ民主党政権の司法長官ロバート・ケネディの息子で、弁護士。23年4月5日に、民主党候補として大統領選挙出馬の登録をしたが、同年10月9日に無所属での出馬を表明した。

 3月末時点で、トランプやバイデンを含む5者選択の世論調査では、約10%の支持率を得ている(RCP平均)。民主党の名門ケネディ家出身でありながら、「反ワクチン」や移民制限など、政策思想では共和党・トランプ派に近いため、彼の出馬がトランプとバイデンのどちらの票を侵食するかが注目されている。

トランプが勝つという「予言の自己成就」のほころび

 2つ目は、「トランプが勝つだろう」という「予言の自己成就」、勝ち馬効果の破綻である。「反トランプ」のヘイリー票がどこに行くか分からないことは前項で述べた。加えて、今のトランプの強さはバイデンの弱さの反映であり、それによってトランプの問題点が相対的に覆い隠されたからだ。

 バイデンは、有権者の熱意や政策評価でトランプに劣っている。2月末のNYタイムズ/シエナ世論調査によると、トランプ候補に「興奮/満足」は全米の8割、「不満/怒る」は2割に対し、バイデンは肯定が7割、否定が3割だ。

 政策面でも、トランプの政策は「自分にとって助けになった」が4割、「ダメージがあった」が4人に1人に対し、バイデン政策は有権者個人にとって、良かったが2割を切り、悪かったは4割を超す。またほかの調査でも、有権者が特に重視する経済・インフレ対策や移民に関して、バイデンよりトランプの対応の評価が高い。しかしバイデンの経済政策評価は徐々に改善している。トランプが勝つという「予言の自己成就」は、いずれほころびを見せるだろう。

 NYタイムズ調査では、「トランプが連邦法の重罪を犯した」と思う人が全米の5割以上、無党派層では6割近い。本選でトランプに投票するつもりの人(トランプ48%、バイデン43%)でも、その2割はトランプの「重罪」を意識している。

 今後の刑事裁判で「有罪」判決が続けば、もはや推定無罪は通らない。議員や主流派の共和党支持者が、トランプの問題を再認識する可能性がある。 【次ページ】不確定要素が多い組織票ですべてが覆る?!
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