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- 2007/02/28 掲載
【連載】中小企業の戦略的会計システム構築 第1回:会計の基本知識と日次決算の意義
第1回 | 【連載】中小企業の戦略的会計システム構築 第1回:会計の基本知識と日次決算の意義 |
第2回 | 【連載】中小企業の戦略的会計システム構築 第2回:大企業と中小企業の目的の違い |
第3回 | 【連載】中小企業の戦略的会計システム構築 第3回:部分最適と全体最適を使い分ける |
そもそも、「情報」は明治の軍人、酒井忠恕による「仏国歩兵陣中要務実地演習軌典」の訳が始まりとされる。その後、森鴎外が「戦論」という翻訳書の中で用い、しだいに一般化されてきたという。
戦場では斥候が「敵情を報告する」役目を負う。この時、上官に伝えられるものが「情報」である。つまり、最初は軍事用語として使われていたことになる。
「先生、当社も日次決算を導入しないと情報化に乗り遅れるのではないでしょうか?」最近、会計事務所ではこのような相談をクライアントから受けることが多くなっているという。これはもちろん会計システムの相談だが、その対象となる「情報」や「会計制度」についての定義が両者で異なると、話がかみあわないことになっていく。
情報システムのような複雑な問題を解決するときには、「それは何のためにやるのか」、また、「それは何のコトなのか」という定義を明確にしてから行わないと良い結果は得られない。「日次決算」の導入を検討するのならば、「情報」の対象は何か、構築すべき「会計システム」とは何かと、モノとコトの定義をしっかりと行った上で話をすすめたいものである。
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会計制度の大枠
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「情報」をコンピュータ同士のコミュニケーションとするのか、コンピュータと人間にするのか、もしくは、人と人とのコミュニケーションツールにするのかで意味も意義も大きく違ってくる。あなたの会社では「情報」をどのように定義しておられるのだろう。
情報化すべき要件は定義された「情報」によって決定される。そして、情報化された要件は「会計制度」へ反映されていく。その際、日次管理会計的に情報を展開すれば、いわゆる「日次決算」と呼ばれるものになる。
「会計制度」は、制度会計と管理会計に大別される。制度会計はさらに一般的な財務会計と税務会計とに分かれる。外部の利害関係者への情報公開を目的とするのが財務会計であり、国庫への納税を目的とするのが税務会計だ。これら制度会計の特徴は遵法という外的な要素が優先されることである。
かたや、管理会計は業績管理会計とも意思決定会計ともいわれる。その目的は企業改革のPDCAサイクルを実施することで、経営基盤の強化をはかることだ。内的な要素が高いのが特徴である。
管理会計で求められる技術は制度会計のそれとは異なり、現状を変えようとする意識がより重要だ。そのため、管理会計の担当者としてふさわしいのは経理担当者と税理士の組み合わせではなく、システムエンジニアと公認会計士のほうが向いているといえる。
彼らは「何のためにするのか」という自問を繰り返し行わなければならない。そうすることで、単にデータを集めて仕訳するだけの会計から現状を改革できる「情報」を見つけ出すことができるようになるからである。
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