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- 2024/02/07 掲載
北海道安平町「考え抜かれたまちづくり」の秘密、“住民の不便さ”を解消する工夫とは
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住民の“暮らしの質”を向上させるDX
安平町は、2014年度から住民に向けた情報伝達手段として町内全域をカバーするテレビ放送「あびらチャンネル」をスタートしている。特に災害時などの情報発信におおいに役立っているという。これに加え、2016年度にはホームページを大幅にリニューアルし、防災情報を集約した「e防災センター」、安平町の歴史に関する情報を集約した「デジタル資料館」を開設し、住民に必要な情報の整備を進めてきた。
また、ここ数年は、YouTube、Facebook、Instagram、LINEなど、各種SNSを使い、町内/町外への情報発信にも積極的に取り組んでいる。これらが、住民の暮らす上での安心につながっているようだ。
そして、もう1つ安平町の特徴的な取り組みが、デマンドバスの運営である。もともと同町では、民間の路線バスと町による無料巡回バスが運行されていたが、利用人数が少なく運行効率も悪い状況となっていた。そこで、この問題を解決するため、2013年度から利用者の乗合による「安平町デマンドバス」の運行がスタートした。政策推進課政策推進グループ 課長補佐の木村誠氏は次のように説明する。
「当初は、電話を通じた予約を受け付け、住民の自宅までバスが迎えにいき、市街地の停留所まで運ぶという仕組みでした。2019年度からはMONET Technologiesのプラットフォームを活用して、スマートフォンのアプリから予約できるように整備しました」(木村氏)
急速に進んだ安平町職員の「働き方改革」
安平町では、住民向けサービスだけでなく、職員の業務効率化にもデシタル技術を積極的に活用している。古くは2013年度に導入した電子決裁システムにさかのぼる。総務課情報グループ 主査の塩月達也氏は次のように説明する。「改革に取り組みはじめた当時は、紙依存からの脱却や様式統一が狙いでした。これが2020年度には庶務管理システムを導入し、休暇申請、時間外申請といった書類の電子化を進めました」(塩月氏)
また、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、職員へのノートPCの貸与、無線LAN環境の整備、オンライン会議、さらにテレワークの導入なども一気に進んだ。
なお、テレワークに関しては、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の実証実験に参加し、そこで検証したシステムを現在も利用しているということだ。 【次ページ】働き方が激変? 全職員に定着した“あるデジタルツール”とは
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