- 2006/11/30 掲載
「Windows Vista」のまとめ--押さえておきたいポイント(2/2)
・Home Basic
家庭用に提供される簡易OSという位置付け。最初に説明したWindows Vistaの基本的な機能を利用できるが、ハードウェアやソフトウェアによっては対応できないものもある。Windows XP Home Editionでは搭載されていたCDの作成機能が搭載されないといった制約がある。
・Home Premium
家庭用のメインストリームOS。冒頭で述べたAeroやマルチメディアコンテンツが視聴・録画できる「Windows Media Center」など、自宅で使用するのに必要な機能がすべて網羅されている。市販のプリインストール モデルでは、ほとんどの場合においてこの製品が搭載される見込みである。すなわち一般ユーザーは必然的にこのエディションのOSを使用することになる。
・Business
主にボリュームライセンス契約を持たない企業およびSA契約を行わない企業向けのOS。このエディションでは、主に企業向けの機能が搭載されている。代表的な点としては、ドメイン参加・グループポリシーのサポート、ファイルシステムの暗号化、RMS(Rights Management Services)によるOfficeドキュメントやメールの保護機能などが実装されている。
・Enterprise
SA契約のある大規模企業ユーザー向け。BusinessライセンスにSA契約を追加した場合に使用が許諾される。Businessの機能に加えて、HDD全体の暗号化とハッキングによる起動を防ぐ「Windows BitLocker ドライブ暗号化(BDE)」、Windows Serverなどに搭載されているUNIX統合ツール「SUA」といった機能のほか、仮想OSが利用できるクライアントソフト「Virtual PC Express」と仮想OS 4ライセンス分が付与されている。Ultimateを含めた他のエディションでは、仮想化したOSに対してもライセンスが必要となるので、このベネフィットは非常に大きい。
・Ultimate
自宅でも企業でもPCを使用したいヘビーユーザー向けのいわば「全部入り」のエディション。ディスク暗号化などEnterprise OSでしか提供されない機能を使用したいが、ボリューム ライセンス契約を持たない企業での採用も見込む。ただし、仮想化に関するライセンス上のベネフィットは(SA契約を保持していないと)受けられないことに注意してほしい。
それではVistaの購入方法についても整理してみよう。下記表に簡単にまとめてみたのでご覧頂きたい。
エディション | OEMでの提供 | パッケージ | ボリュームライセンス | |
通常版 | アップグレード版 | |||
HB | ○ | 2万5,800円 | 1万3,800円 | - |
HP | ○ | 2万9,800円 | 1万9,800円 | - |
B | ○ | 3万7,800円 | 2万5,800円 | ボリュームライセンス単体でのライセンス販売はされない。他の OS からのアップグレードのみ、2万2,100円 で提供。 |
E | - | - | - | いずれかの Business ライセンスにソフトウェア アシュアランス(SA)を追加することで利用可能になる。SAの金額は 1万2,800円 。 |
U | ○ | 4万8,800円 | 3万1,800円 | いずれかのBusiness ライセンスにSAを追加することで利用可能になる。SAの金額は1万2,800円。 |
まず、店頭で購入することのできるOSはEnterprise以外のすべてとなる。店頭で販売されるVistaには、プリインストールされたOEM、およびシュリンク ラッピングされたパッケージ製品の2種類がある。店頭販売は1月30日の開始を予定しているようだ。
パッケージの場合はすべてのエディションにアップグレード版も提供されており、これによりグレードの低いVistaや古いWindows XPなどのOSから該当エディションのVistaにアップグレードすることもできる。
Enterpriseを使用したい場合は、Businessライセンスにボリュームライセンスで提供されるSAを追加する。なお、使用しているOSがBusiness以外のVistaやWindows XP Professionalなどの旧OSの場合は、パッケージ版より安価なアップグレードライセンスがSAにて提供されるのでそれを購入すると良いだろう。
櫻井敬子 NTTデータ先端技術 ソリューション事業部 ネットワークソリューション ビジネスユニット コンサルタント Microsoft MVP (Windows Server - Management Infrastructure) SP、PCサポート業務などの後、Windowsサーバの設計・構築関係の業務を経て、現職はNTTデータ先端技術。現在は、ネットワーク関係の業務に従事するかたわら、翔泳社から「ネットワークアドベンチャへ出かけよう」の執筆、各種雑誌やWeb情報サイトへの寄稿、独自のコミュニティサイト「Admintech.jp」の運営などを行っている。 |
関連コンテンツ
PR
PR
PR