Windows Vistaはマイクロソフトが提供する最新のクライアントOSである。3Dの美しい描画で注目を集める「Windows Aero」、タブ・RSSフィード対応の最新Webブラウザ「Internet Explorer 7」などが新たに加わったほか、スパイウェアをスキャンし削除する「Windows Defender」やフィッシング対策機能が標準で備わるなど、セキュリティが大幅に改善された点も忘れてはならない。

　すでにライセンス提供も始まっており、いよいよ2007年1月にはパッケージやOEMでの販売も始まる。もういつ手に入ってもおかしくない状況の同OSについて、どのような製品が提供されるのか、改めてポイントを整理したい。



　まず、Windows XPがどのような製品だったかおさらいしたい。Windows XPには、コンシューマ向けにWindows XP Home Editionが、エンタープライズ向けにWindows XP Professionalがそれぞれ提供されていた。また、ハードウェアの発展にあわせて、タブレットの機能を追加したTablet PC Edition、ホームエンターテイメント要素を強化したMedia Center Edition、そして最新の64 bit CPUに対応したx64 Editionという3種類のOSが提供された。

　これらはそれぞれ個別のニーズに合わせて提供されてきたが、Windows Vistaではこれら製品の区分を改めて整理し、5種類のエディションが用意された。コンシューマ向けにはHome Basicおよび上位のHome Premium、企業向けにはBusinessとソフトウェア アシュアランス（以下、SA）の特典として提供されるEnterprise、どちらのケースでも使用したいユーザーのためのUltimateという分類である。また、すべてのエディションにおいて64bitに対応したものと32bitに対応したものがそれぞれ提供されるため、全部で10種類の選択肢があることになる。



　エディションごとの説明の前に、標準で搭載される新機能をおさらいしておこう。先述したAeroやInternet Explorer7に加え、検索機能が大幅に改善された点、ファイルのメタ情報に基づいたコンテンツ自動分類機能といった地味だが非常に期待できる機能が加わる。また、頻繁に利用するアプリケーションのメモリをあらかじめ読んでおく「Windows SuperFetch」、システム情報をUSBフラッシュドライブにキャッシュさせることでレスポンスを改善する「Windows ReadyBoost」、処理性能やバッテリ駆動時間、ノートパソコンの信頼性を向上させる「Windows ReadyDrive」なども縁の下の力持ちとなることだろう。

　なお、XPに標準で付属していたOutlook ExpressはWindowsメールと名を変え、フィッシングメール対策機能や迷惑メール対策機能が追加・強化されている。

　各エディションに搭載されている機能を下記にまとめたので、参考にしてもらいたい。

Windows Vistaにおける各エディションの違い

機能名	HB	HP	B	E	U
Windows Aero		○	○	○	○
インスタント検索	○	○	○	○	○
コンテンツ自動分類	○	○	○	○	○
Internet Explorer7	○	○	○	○	○
Windows Media Player !1	○	○	○	○	○
Windows Media Center		○			○
Windows SuperFetch	○	○	○	○	○
Windows ReadyBoost	○	○	○	○	○
Windows ReadyDrive	○	○	○	○	○
Windows DVDメーカー		○			○
ドメイン参加			○	○	○
SUA			○	○	○
仮想OSの利用				○	○
子供のコンピュータ利用の制限	○	○			○
Windows Meeting Space	△※1	○	○	○	○
Windows Rights Management Services			○	○	○
Windows Defender	○	○	○	○	○
暗号化ファイルシステム			○	○	○
Windows BitLockerドライブ暗号化				○	○
（HB…HomeBasic、HP…HomePremium、B…Business、E…Enterprise、U…Ultimate） ※1　閲覧のみ可能

Microsoft MVP
（Windows Server - Management Infrastructure）