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- 2023/08/24 掲載
ChatGPTで変わった優秀人材像、ただしプロンプト技術だけでは「通用しない」ワケ
生成AIが影響しやすい職種
オープンAIと米ペンシルバニア大が2023年3月に共同発表した論文では、大規模言語モデルは「インターネットやトランジスタ、エンジン、電気などに匹敵する数十年に一度の技術」と位置づけられています。生成AIの登場によってこれまで人間が手がけてきた仕事はどの程度、自動化されることになるのでしょうか。
ゴールドマン・サックスの分析では、米国内の現在の作業タスクの1/4がAIによって自動化される可能性があるといいます。特に事務系(46%)と法務系(44%)の職業でその割合が高く、建設業(6%)やメンテナンス業(4%)といった労働集約的な職業ではその割合が低いとされています。
事務サポートや法務など、決まったルールや過去の事例に基づいて進められるような業務においては、AIに取って代わられる作業の割合が特に大きいといえるでしょう。
ただし足元、日本企業における生成AIの導入は海外主要国に比べて低調です。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)による企業の導入率(主に大企業)の調査では、世界平均が40%に対し、日本は24%にとどまりました。帝国データバンクが国内の主に中小企業を対象に実施した調査では、生成AIを業務で活用している企業は10%未満となり、国際的なデジタル競争力の低下が懸念されています。
日本でAI導入が遅れている理由
こうした現状を踏まえ、経済産業省の専門家会合「デジタル時代の人材政策に関する検討会」は生成AIの健全な活用に向けた人材育成の課題について議論を重ね、2023年8月に「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を公表しました。日本企業で生成AIの導入が遅れている理由について報告書は、ユースケースが少なく、企業での利用イメージがつきづらい一方、情報漏えいや著作権問題などのリスクや懸念が強調され、結果的に企業が利用を認めていないといった実態があると分析しています。
また、経営層の問題意識の欠如、ビジネスパーソンのデジタルリテラシーの低さ、企業での利用環境整備に必要なデジタル人材の不足など複数の要因が背景にあるとも指摘しています。
それでは、新たな時代において経営層が求められる人材育成とは、そして従業員が求められるスキルとはどのようなものなのでしょうか。 【次ページ】人材育成の「前提そのもの」が変わる
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