• 2006/09/01 掲載

【神田敏晶氏インタビュー前編】CGMによるパワーシフトと新しいビジネスのあり方を探る(2/2)

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CGMはビジネスになるのか?

――行動様式が消費者主体へシフトする「CGM」(Consumer Generated Media)の動きが企業に与える影響はどうでしょうか?

 いまSNSのようなコミュニティでは、気の合う人たちが集まって、共通の話題で盛り上がっています。ロングテールにあるコミュニティの中で、ニッチで狭いマーケットと思われていたようなものが徐々に大きくなって、それをメディア側が取り上げた途端にブレイクしてしまうといった現象も起きています。ブームになる前の"小さな兆し"がロングテールの中にたくさん現われ、それが次のトレンドになる可能性を秘めているわけです。新しい商品開発でも、たとえばコミュニティの中で"10万人のユーザーがいて、こういうものが欲しい!"というニーズがあれば、企業側でそのアイディアを拾い上げて製品をつくって、ユーザーが入札をかける、というようなことも現実的なものになってくるでしょう。企業がマーケティングをかけてから製品をつくって売り出すというよりも、コミュニティが先導して新しい製品を具現化させていくような"パワーシフト"が起きてもおかしくない時代になっています。

サイトへの広告掲載料はタダでもいい

――CGM主導のクチコミサイトなどは、製品の欠点を書かれることもあり、スポンサー側は広告を入れにくい側面もあるかと思います。そのような有料のコミュニティサイトでも、うまく集客や運営ができるでしょうか。

 基本的に私はサイトへの広告掲載料はタダでもいいと思います。そのかわり、ユーザーがそのサイトで商品を購入した場合には、何がしかの値引きをしてくれるような仕組みがあれば、集客は可能だと思います。いまのスポンサーの考え方は、"誰か一部の人が購入した商品で得られた利益を、番組などの制作費としてまわす"というもので、たとえ商品を購入しない人であってもコンテンツが観られるわけです。実はそういうスポンサーの構造が、特にTVなどのメディアでは見えにくい部分になっています。一方、コミュニティの中ならば、"皆でこの商品を購入するから、その分の手数料が掛からなくなりましたよ"というような工夫ができるでしょう」 「たとえば、スポンサーが付かなくても、その商品に見識の深い人たちがチョイスしてきたものを、メリットとデメリットを含めてレポートして、それを理解した上で商品を購入してもらう。広告ではなくて、ユーザーが選んできたセレクトショップのようなイメージで、そのサイトで購入すれば手数料は掛からないような仕組みがあればいいと思います。さらにレポーターのギャランティ分を差引いても、まだ利益が残るということになれば、CGM財団のようなものができるかもしれません。また、そういうコミュニティの中でも、確実に商品が売れるということがハッキリ認識されるようになれば、スポンサー側の広告に対する考え方も変わってくるでしょう」

――CGMによるパワーシフトが起こる一方で、企業の視点から見た場合のWeb2.0への対応はどのような状況にありますか?

 最近特に感じる点は、企業においてもWeb2.0で何が起きるかわからないけれど、面白いことができそうなので、とにかくやってみよう! という風潮になっていることです。いろいろな業界でアイディアがひしめきあっていて、新しいサービスを立ち上げようという気運が出てきました。企業は、従来のようなトップページからツリー状にみせるサイトだけで発信するのではなく、Blogもやってみるべきだと思います。Blogの場合は単なるWebサイトと違って、日々発信する必要がありますから、いろいろな部署を横断していかないと運用できません。毎日、社外報を出すようなイメージで発信していくわけですから、企業の風通しもよくなりますよね。たとえば、よい事例としてイトーヨーカドーの店舗Blogがあります。店舗ごとに地域性をもったBlogを発信していて、"今日は魚介類が安いよ!"というような、その店舗だけの特売情報などがWebにどんどん上がってくるわけです。こういう試みは、もう1つのCGM、つまり"Corporate Generated Media"といえるでしょう。企業自体がそのままメディアとしての機能を果たすわけです。

>>後編は9月8日の掲載予定


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