ジャーナリスト 川辺 和将
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」
暗号資産など次世代金融への投資に対する日本人の「超慎重姿勢」ともいえる傾向が、SBI金融経済研究所が実施したアンケート調査で明らかになりました。米国など主要6カ国内で比較したところ、暗号資産の認知度、関心度は日本が最も低く、NFTやステーブルコイン、セキュリティートークンにいたっては聞いたことすらないという人が大半を占めます。さらに、詳しい知識を持っている人でさえ投資になかなか踏み出さない傾向も明らかになり、国内でビジネス拡大を狙う事業者サイドにとって、乗り越えるべき課題の多さを印象づける結果に。なぜ、次世代金融への投資機運は日本でこれほど低調なのか?──調査を主導した同研究所研究主幹・杉浦俊彦氏に考えを聞きました。
このところ金融庁は、金融事業者に対してことあるごとに「プロダクトガバナンス」を徹底するよう迫っています。が、このプロダクトガバナンスという言葉、一体何を意味しているのか、当の金融業界内でも認識が共有されているとは言いがたい状況です。もともとは、投資信託など金融商品を作る資産運用会社が果たすべき役割を指して使われていました。一方で、仕組債をめぐる問題に対する関心の高まりを機に、商品を販売する証券会社や銀行など金融機関側に対してもプロダクトガバナンスの強化が求められる機会が増えています。この謎めいたカタカナ語を当局が持ち出した狙いはどこにあるか、そしてそこに込められた意味合いの広がり方が、足元でどのように変わりつつあるのか──取材を元に探ってみました。
改正資金決済法が6月に成立したばかりですが、政府はパーミッションレス型(パブリック型・自由参加型)ブロックチェーンを対象とした新たな規制枠組みの構築を検討しています。事業者側でも三菱UFJ信託銀行がブロックチェーン用プラットフォーム「Progmat(プログマ)」を通じ独自のコイン発行を目指すなど新制度施行に向けた準備が進んでいます。一方で5月のテラUSD暴落を経て、金融庁の研究会ではステーブルコイン普及の意義そのものに懐疑的な意見も聞こえました。なぜ今、ステーブルコイン分野に参入するのか。国内市場の将来をどう見通しているのか。同社デジタル企画部のProgmat担当プロダクトマネージャー、齊藤達哉氏に聞きました。