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- 2023/06/28 掲載
日銀金融研究所長が語る「中央銀行DX」、世界最先端の取り組みを解説
日銀金融研究所長が示す「中銀DX」の必要性
日本銀行のセンター・オブ・エクセレンスとして、金融経済理論や金融を支える制度、金融の歴史に関する基礎的研究を行う日銀金融研究所。その所長を務める副島豊氏は、1990年に日本銀行に入行し、市場や決済、プルーデンス部署、決済機構局FinTechセンター長などを経て2021年9月から現職を務めています。AI、ビッグデータ、ネットワーク分析、デジタルツインなどを活用した新しい調査・研究手法の導入に携わり、日銀の技術面における改革を主導してきた人物です。
「すべての企業がテクノロジー企業へと変化する時代が到来し、我々中央銀行も、中銀インフラの直接の提供先である金融機関とその先にある企業、そして国民生活を含む経済全体の成長を目指して中銀サービスをアップデートする必要がある」──副島氏はこう前置きし、中央銀行DXの国際的な動向を紹介しました。
「モニタリング」と「分析」のモダナイゼーション
中央銀行におけるDXの「旗振り役」となっているのが、国際決済銀行(BIS)が運営するイノベーションハブ(以下、BIS-IH)です。副島氏は、BIS-IHが各地の拠点ごとに実施している概念実証(PoC)案件を紹介しました。特にSupTech(監督テック)/RegTech(規制テック)の分野で注目を浴びている取り組みとしてスイスセンターで実施されている「プロジェクトRio」、シンガポールセンターで行われている「プロジェクトEllipse」などを取り上げました。
両プロジェクトはいずれも、当局におけるテクノロジーの活用を通じた監督、モニタリング業務の効率化、高度化を図る試みです。RegTechは規制の設計や運用を効率的かつ高度に実施するためにテクノロジーを活用していく試みであり、SupTechは監督やモニタリングに関するテクノロジー活用を指します。
「Rio」はFX市場をリアルタイムでモニタリングする方法について概念実証を進めています。「株式市場と同様、高速FX市場では機械がトレードを行うため、人間の目によるモニタリングでは、一体何が起こっているのか理解することはできない」と副島氏は指摘。
「そこでRioプロジェクトは、約定以前のオーダーフロー段階から市場で発生するデータを機械によってリアルタイムでモニタリングし、ミリ秒単位で分析した上、何が起きているかをレポーティングする一気通貫のシステムを作っている」と説明しました。
「Rio」が市場取引に焦点を当てているのに対し、後者の「Ellipse」は銀行監督の分野に照準を定めています。
「銀行監督の現場では、中央銀行と民間銀行の間で大量のデータをやり取りするため、分析の負担が非常に大きくなる。また、人間どうしでデータをやり取りするので即時性に欠け、かつヒューマンエラーも起こりやすい」と、副島氏は従来のモニタリング業務の限界に言及。
その上で、「1つのソリューションとして、ポートフォリオの状況、銀行与信に関する情報など、細かい粒度の膨大なデータを集計せずにそのまま送受信し、データベースに格納し、分析やモニタリングに適した形に整理し、分析エンジンにかけ、結果をデータマートに蓄積し、ダッシュボードでエッセンスを展開するという入り口から出口までEnd-to-endで動くインフラを整えることが大切になる」と述べました。
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