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- 2023/09/26 掲載
金融庁や日銀が語るデータ活用、「生成AI」「共同データ基盤」の論点とは
金融庁×日銀が構想する共同プラットフォームとは
冒頭、金融庁データ分析統括室長・村木圭氏は、日本銀行と協力して取り組んでいる、共同データプラットフォーム構築に向けた実証実験について紹介しました。2022年夏に始動した実証実験では、法人企業向けの貸付に関するデータを銀行から効率的に収集する仕組みを構築。実際に主要行7行と地域金融機関49行から法人貸付明細データを受け取って日銀と共有し、いかにしてモニタリングの高度化や金融機関の負担軽減に活用できるかを検証しました。

村木氏は「そもそも金融という世界はデータやITと親和性がかなり高い世界であり、インフラ部分での連携が進んでいくことは非常に重要となる。ただ、結局はデータがきちんと揃っていなければ、いかにモデルを作ったり、データこねくり回したりしてところで、意味のあるものを作ることは難しいというのが現実だ」と指摘します。
「私たちは金融機関側から頂戴しているデータを収集対象としている。生に近い明細的なデータを行政の課題解決に役立たせていただきながら、負担軽減や分析結果の還元といったベネフィットが金融機関側にもたらされる形を検討しており、プラットフォームはその1つのプロトタイプのようなものだ」と、実証実験の狙いを説明しました。

実証実験を通じ金融庁は、銀行から金融庁への報告に用いる資料(計表)の一部を新たな仕組みで代替できることを確認。モニタリングの高度化と負担軽減の観点で活用余地が大きいことが明らかになったといいます。
こうした検証結果を踏まえ村木氏は、「データとしては非常に有用だという結論を得た一方で、いくつかの課題も明らかになった。一番大きな課題としては、金融機関によるデータの管理の仕方、その持ち方、定義などの違いが挙げられる」と指摘。
プラットフォームの構築に向けた取り組みを今後も継続する考えを明かした上で「今後、(データの仕様について)金融機関側と私たちとで調整をすることになると思う。(民間側の自主的な)データ標準化に向けた取り組みにも期待している」と述べました。 【次ページ】組織を超えた「データ連携基盤」構想、生成AIの論点
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