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- 2023/07/24 掲載
三菱UFJ信託に聞くデジタル証券、「わざわざトークン化」の意義とは?
2032年の市場規模は26兆円の予測も
ブロックチェーン技術を活用したデジタル証券であるセキュリティートークンのうち、不動産を裏付けとして発行される不動産セキュリティートークンは足元、市場規模の拡大基調が続いています。国内では、不動産アセットマネジメント大手のケネディクスが2021年夏に初めて不動産セキュリティートークンの公募を実施。23年6月の市場規模(不動産セキュリティートークンファンドの運用残高)は700億円近くに上り、三菱UFJ信託銀行・齊藤達哉氏は2032年までの約20年間で2兆6,000億円規模に拡大すると予想しています。
Progmatが「三菱色」を消す理由
Progmatはセキュリティートークンやステーブルコインを発行、管理する基盤を提供するプラットフォームです。現在は三菱UFJ信託銀行が運営していますが、今年9月以降には新設の合弁会社への移管を予定。三菱UFJ信託銀行に加え、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、NTTデータ、SBI PTSホールディングス、JPX総研の7社が出資します。三菱UFJ信託銀行の親会社である三菱UFJ銀行と競合関係にあるメガバンク系列や、他の信託銀行を含めた呉越同舟のスタイルで、新たな船出を迎えることになるわけです。
あえてProgmatから「三菱色」を消す狙いについて齊藤氏は、金融庁で6月6日に開かれた「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の第11回会合に登壇した際、「三菱の冠をかぶったままでは中立の組織として見られない。独立した会社とすることで、他の資本系列の会社とも広く参加いただき、いわばナショナルインフラとしてSTやUT、ステーブルコインをさまざまな金融機関などに提供することができる」と説明。
さらに「共創と標準化を目指すインフラ層と、競争するサービス層とに分かれることになる。インフラ層を担うProgmatの独立後、三菱UFJ信託銀行は競争領域で、商品を開発・提供する側に立場を変える」と語りました。
現状、Progmatを活用してこれまでに立ち上げられた不動産セキュリティーファンド10件(23年5月時点)は、すべて三菱UFJ信託銀行が発行者を担っています。グループの垣根を越えて新たなスタートを切った後は、他のグループ系列の発行も見込まれ、市場拡大をいっそう加速させる可能性がありそうです。 【次ページ】「わざわざトークン化」仲介業者にメリットは?
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