細谷 元
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/
現在、話題になることが増えている「メタバース」だが、そのほとんどはメタが推進するVR(仮想現実)ベースのメタバースを前提としている。一方、AR(拡張現実)ベースのメタバース構築を目指す動きも活発化しており、こちらも無視できない。ARメタバース構築を主導する一角は、ポケモンGoの開発企業として知られるナイアンティック。現在ソーシャルメディアが一部企業による寡占状況にあるのは明白だが、今後はゲーム起点/メタバースと関連する新しいSNSが登場し、状況が大きく変わるかもしれない。8月4日から、世界各地で行われる「ポケモンGO Fest」の札幌での開催が始まり、現実世界で多くの人を集めているナイアンティックの動きからARメタバースの動向を探ってみたい。
IDCのAR/VR市場レポートによると、VR機器のシェアの半数以上を占めるのはメタという。2020年にローンチされた同社の「Meta Quest 2(旧Oculus Quest 2)」が巣ごもり需要の追い風を受け、販売が急増、それまで市場トップだったソニーを押しのけ1位となった。メタはこの市場基盤をもとに年間100億~150億ドルを投じ、VR市場での存在感をさらに強める姿勢だ。しかし、メタバースに対する期待が膨らむ中、ソニーやアップルなどの大手企業だけでなく、TikTok運営バイトダンス傘下のPico、フランスのLynxなどのスタートアップもVR市場への攻勢を本格化しつつあり、市況は今後大きく変わる可能性もある。