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- 2022/08/01 掲載
電動自転車やドローン活用、アマゾンらが取り組む「ラストマイルデリバリー」とは
アマゾン、ロンドンで電動自転車導入へ
ロジスティクス分野ではこの数年ラストマイルデリバリーを強化する取り組みが活発化している。その取り組みの多くは、デリバリードローンや自律走行車の開発などいわゆるハイテク領域のものだが、同領域に頼らない取り組みも存在する。
アマゾンが2022年7月に英ロンドンでローンチした「マイクロモビリティ・ハブ」がその好例といえるだろう。
マイクロモビリティ・ハブとは、アマゾンがセントラル・ロンドンに開設したデリバリーハブで、電動カーゴ自転車による配達を前提とする施設だ。
アマゾンは現在、2030年までに全デリバリーにおける50%をネットゼロにする「Shipment Zero」を掲げており、電動バンの導入などを積極的に進めている。マイクロモビリティ・ハブはこの取り組みの一貫で実施され、電動カーゴ自転車による排出ゼロのラストマイルデリバリーの実現を目指す。
現時点における英国でのアマゾンの電動バン導入数は1,000台以上。2021年英国で電動バンによって配達された荷物の数は、4,500万個を上回ったという。
一方、アマゾンは今回ローンチしたマイクロモビリティ・ハブと電動カーゴ自転車によって年間100万件以上の配達を実現したい考えだ。
アマゾンが今回導入する電動カーゴ自転車は、英オックスフォードシャーの企業EAVが開発した4輪モデル。英国内では、Eコマース大手Ocadoが2021年にトライアルを実施するなど、すでにいくつかの企業で導入の試みが進んでいる。
アマゾンはShipment Zeroの名の下、ラストマイルデリバリー以外の領域でも投資を進めている。
2022年3月には、英国で完全電動の37トントラックを5台導入することを発表。英ティルベリーとミルトンキーンズのフルフィルメントセンターからの配送で活用される。
現在、アマゾンの大型配送トラックはディーゼル車がメインだが、段階的に電動トラックに切り替えていく計画だ。2022年末までには、今回導入される5台に4台が加わり計9台になる見込みだという。
大型電動トラックを供給するのは、オランダのトラックメーカーDAFだ。アマゾンが導入するモデルは、350キロワットのバッテリーを搭載しており、最大220キロメートルの走行が可能だという。
UPSも英米で電動自転車導入
ラストマイルデリバリーで電動カーゴ自転車を導入しているのはアマゾンだけではない。貨物運送業を手掛ける米UPSは2022年4月、ロンドンで電動カーゴ自転車「eQuad」を試験的に導入することを発表。二酸化炭素排出の削減、交通渋滞の緩和を実現しつつ、ラストマイルデリバリーを強化するのが目的だという。同社は、2050年までにカーボンニュートラル100%の達成を目指しており、電動カーゴ自転車は、それに向けた重要なステップになるとみられている。
今回UPSが導入する電動カーゴ自転車を提供するのは、2013年創業の英スタートアップFernhay。UPSが試験導入する「eQuad」は、縦3メートル、幅84センチメートルの大きさで、自転車レーンと歩道を走行できるコンパクトさを売りとする。最大積載量は210キロで、1回の充電で60キロメートルの走行が可能だ。
UPSが英国で始めた取り組みは、米国でも広がるかもしれない。
Observerの2022年6月22日の報道によると、UPSは英国で試験導入している「eQuad」をニューヨークでも導入し、都市部でのラストマイルデリバリーを補完する構えだという。
現在、マンハッタンでは400台以上のUPSトラックが走っているが、このところ駐車違反が深刻化している。電動カーゴ自転車の導入で、駐車違反コストも圧縮されることが期待される。2019年、ニューヨーク市だけで、UPSは駐車違反の罰金として2,300万ドル(約31億円)を支払ったと報じられている。同社は、ニューヨークでのトライアルが成功すれば、米国の他の都市でも電動カーゴ自転車を導入する計画だ。
このほか、米国ではドミノ・ピザが電動自転車メーカーRad Power Bikesと提携し、電動自転車によるデリバリーを数都市で試みているほか、FedExがロンドンで電動自転車による配達を実施するなど、ラストマイルデリバリーで電動自転車を活用する事例は枚挙にいとまがない。
【次ページ】空からの配達も取り組み進む
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