ニッセイ基礎研究所 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾
1970年生まれ。東京工業大学卒業。1993年日本生命保険相互会社入社、1999年(株)ニッセイ基礎研究所、2018年より現職。研究・専門分野は、株式市場・株式投資。主な著書に『ROEを超える企業価値創造(日本経済新聞出版社)』などがある。日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンス学会会員、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
米国の金融政策を占うイベントとして注目された2021年8月27日のジャクソンホール会議は、市場に波乱を起こすことなく通過した。同会議の講演で、パウエルFRB議長は、「物価や雇用情勢など広い範囲で経済が予想どおり改善すれば、資産買い入れの縮小(テーパリング)を年内に始めるのが適切」、「テーパリングは将来の利上げ時期を直接的に示唆するものではない」などと発言。これは一部で警戒されていた「テーパリング9月決定、10月開始」という予想を明確に否定したわけではないが、しばらくは金融緩和状態が続くと市場関係者に受け止められ、米国市場は落ち着いた反応となった。はたして、FRBの「テーパリング開始」の時期はいつ頃になるのだろうか。