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  • 2020/06/19 掲載

コロナで乱高下する株式市場、このまま投資を続けるべきか?相場を読み解く

【連載】井出真吾の「株式市場を読み解く」

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2019年6月に起きた「老後2,000万円」騒動をきっかけに、つみたて投資を始めた人は多い。当時、老後に必要とされる資金を確保するために、一念発起して投資家の仲間入りしたものの、1年も経たずにコロナ禍に見舞われ、株価は急落。幸い、足元で株価は急回復したが、今後も投資を続けるべきか。それとも、コロナが終息するまで投資はひと休みすべきか、検討したい。
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今後も投資を続けるべきか。それとも、コロナが終息するまでひと休みすべきか
(Photo/Getty Images)
 

老後への不安から、「つみたて投資」を始めた人は急増

 2019年6月、金融庁が公表した「老後の生活資金として年金だけでは2,000万円ほど足りない」という趣旨の報告書が物議を醸した。国会でも大きく取り上げられたほか、メディアやネット上でも政府批判が広まった。

 こうした“騒動”を尻目に多くの人が投資を始めたようだ。つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)の口座数は、2019年7~9月に約23.5万口座と過去最大級の増加を記録し、その後も順調に増えている。

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図1:つみたてNISAの口座数(各月末時点)は増加が続く
(出所:金融庁より作成)

投資を始めた矢先に株価は乱高下、コロナの影響を振り返る

 2019年9月以降、世界的に株価が上昇し日経平均株価は2万4,000円を超え、NYダウは3万ドル目前まで迫った。同年の7~9月頃につみたて投資を始めた人は、この世界的な株価上昇の恩恵を受けたことで、「投資をはじめて正解だった」と思っただろう。

 ところが、2020年に入るとコロナショックが金融市場を大きく揺さぶり、日経平均はピークから7,500円超の下落、NYダウに至っては1万1,000ドル近く急落した。

 せっかく積み立てた資産が、一瞬で3割以上も目減りする状況を目の当たりにして、「やっぱり投資は危険だ、今のうちにやめようか」と思った人も少なくないだろう。

 その後、各国政府や中央銀行による大規模な政策などを背景に株価は急速に回復した。それでも日経平均・NYダウともに急落前の9割程度の水準までにしか回復していないため、株式型の投資信託を保有し続けた人の多くは、含み損(元本割れ)の状態と思われる。

 とはいえ、もし急落時に売り払っていたらもっと大きな損失を「確定」させていたことになる。その場合、「投資なんてコリゴリだ。2度とやるまい」と思ったことだろう。

 誤解を招かぬよう述べておくと、筆者は「株価急落時に投資をやめなかったから、株価反転の恩恵にあずかれた」なんてことを主張するつもりは毛頭ない。これほど急速に株価が回復することを予想できた人は少ないし、コロナ禍による経済的な打撃で株価の戻りが鈍かった可能性もあるからだ。

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図2:コロナ禍で株価が乱高下
(出所:Refinitivより作成)


学者の理論と実際の値動きは違う?株価の仕組みとは

 日々の投資家の需給によって価格が決まる株式には、“定価”がない。理論的な適正価格については、昔から多くの学者が研究してきたが、実際の株価は理論価格から乖離(かいり)することがほとんどで、図3のイメージのように、理論価格より高くなったり低くなったりを繰り返している。

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図3:理論株価と実際の株価(イメージ)
(出所:筆者作成)


 この短期的な値動きは主に需給に左右される。たとえば、株価が図3のAの水準にあるときはどのように考えれば良いか。ある投資家が、「理論上の価格より実際の株価が割安な水準にある」と考えて株式を買ったとしても、ほかの多くの投資家が「今より株価はもっと下がる」と考えて株式を売却すれば、株価は下がってしまう。

 逆に、Bのときに「売り時だ」と判断して株式を売却したものの、「もっとあがる」と考え株式を購入する投資家の方が多くなれば、実際の株価はさらにあがる。

 つまり、自分の投資判断が結果的に正しかったかどうかは、“自分以外の投資家が決める”ということだ。これが株式投資の難しい点であり「株式投資は人気投票」と言われる理由だが、「皆がどう考えるか」を知ることなどできないので、短期的な値動きを捉えて投資で儲けるのは至難の業だ(単なる運とも言える)。

 短期投資よりも確実性が高い方法が「長期投資」だ。以降でその理由を説明する。

【次ページ】確実性の高い投資スタイルとは? 株価の“底”を見極める方法を解説
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