経済評論家 加谷 珪一
加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。
テレビ業界は、久々に明るい話題で持ち切りとなっている。日本テレビのドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」は、全話10%代の視聴率をキープして最終回を終了。TBSの「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」は最高視聴率を更新中だ。だが、地上波テレビが抱えている構造的な問題が、これらの人気番組で抜本的に解決されるというわけではない。視聴者のテレビ離れはゆっくりではあるが着実に進んでおり、経営環境は厳しくなる一方である。今後、視聴率の低下がさらに進んだ場合、その影響が最初に顕在化するのは、おそらく地方のテレビ局だろう。キー局を頂点とする系列ネットワークには、キー局から収益を分配する独特の仕組みがあり、これが地方局の高収益を支えてきた。