在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之
Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うとともに、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」を運営。
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、グローバルにテクノロジー分野へ出資することを目的としてソフトバンクグループが設立したファンドだ。同ファンドは、あるビジョンに基づき、一連の投資を行っている。そのビジョンとは「シンギュラリティ」だ。ソフトバンクグループの孫正義社長は、コンピュータが人間の知性を上回るシンギュラリティの到来を予見する。その未来では、人間よりも賢いコンピュータチップがあらゆるものに搭載され、より良い社会を作る。そして、そのコンピュータチップを設計するのが2016年にソフトバンクが買収したARM社であり、通信環境を人工衛星から世界中に提供するのが、同じく買収したワンウェブ社にあたる。モバイルワールドコングレス(MWC)2017にて、孫社長は「人類のために共に働こう」と呼びかけた。
動画配信サービスを手掛けるNetflix(ネットフリックス)は、全世界130か国で1億人ものユーザーを抱え、世界中で急成長を遂げている。ローカルでコンテンツを制作し、グローバルで視聴者を集める手法が人気を集め、世界中の視聴者とコンテンツをつなげる役割を果たしてきた。そのコンテンツの品質は非常に高く、ネットフリックスのオリジナル作品「ホワイト・ヘルメット」は第89回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー賞を獲得するほどだ。スペイン・バルセロナで行われたモバイルワールドコングレス(MWC)2017では、ネットフリックス CEO リード・ヘイスティングス氏がネットフリックスの世界展開とコンテンツの未来について語った。
Otto(オットー)は自動運転技術を大きく進歩させ、運転席に誰もいない状態で190キロ以上を走行するなど、大きな実績を積み上げてきた。その技術に注目した米ウーバー・テクノロジーズ(ウーバー)に買収され、ウーバーが目指す信頼できる交通・物流ネットワークの構築に寄与している。オットーの創業者アンソニー・レヴァンドフスキ氏は、スペイン・バルセロナで行われたモバイルワールドコングレス(MWC)2017に登壇し、自動運転開発の現状や、それを実現する未来について語った。現在開発するソフトウェアやセンサー技術に加え、5Gの高速通信インフラによって「自動運転車は最も大きなモバイル機器」になるというビジョンを示している。
2013年、減収に悩まされていたスペイン・バルセロナのお笑い劇場「Teatreneu」は、業績回復の手段として「入場無料、笑った分だけ料金を払う」という従量課金制の公演を立ち上げた。センサー、モバイル、クラウドといった技術を駆使したIoTを活用することで、座席の前に備え付けられたタブレット端末で観客の笑顔を認識し、1笑いごとに30セントが計上されるという仕組みだ。24ユーロの上限が決まっているため、観客は思う存分に公演を楽しめるという。IoTで「Pay-Per-View(PPV)」ならぬ「Pay-Per-Laugh」という不思議な課金モデルを実現したこの劇場の先進的な取り組みは、本当に成功したのだろうか。実際にTeatreneuに行って観劇してきた。