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- 2018/10/17 掲載
運用コストを1/8に減らした秘訣とは。JINSを含む製造業3社のシステム改革事例
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これから不可欠となるのは、「アジャイル」な経営
たとえば、自動車メーカーでは「サービスとしてのモビリティ」(Mobility-as-a-Service:MaaS)へのシフト、小売業ではプライベートブランドを生産する、ある種、製造業のような変化が見られている。
その上で、製造業の未来の姿を描くために、消費者の個別ニーズに対応する「カスタマイズ」、ビジネスプロセスのクラウド化が進められ、リアルタイムでの提供を可能にする「リアルタイム」、製造・業務処理の安全な自動化を実現する「ノーオペレーション」の3つの軸が考えられるという。
さらに今後は「アジャイル(俊敏性)経営」が求められてくると秋元氏は説明。
「AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務の自動化)、ブロックチェーンなどの新しいデジタル技術でビジネスプロセスを変えるときには、今までのプロセスをアジャイルで実施することが重要です」(秋元氏)
アジャイル経営のためには、「全社デジタル戦略の構想策定」「全経営陣の巻き込み・意識改革」「実現に向けたロードマップの立案」などがその第一歩になる、と語った。
グローバル化のネックとなるのはIT
まず、三田村氏は「日本企業を取り巻く外部環境は日々変化しています。人材不足、国内市場の縮小、デジタル変革、異業種との競争、そうした変化にグローバルITが必要となっています。グローバル投資、最適化のニーズが拡大する中、ネックとなるのがそのITだと考えています」と指摘。
たとえば、現地と本社のシステムの考え方の違いにより、計画の遅れが発生することがある。また、個別で最適化したITでは競争優位が達成できず、稼働後のトラブルも収束していかないという。
「グローバルITプロジェクトでは、国内案件では想像しない難しさとオーバーヘッド(間接費用)が発生します。企業グループ全体で統制されたデジタル戦略と標準化、体制が重要です」(三田村氏)
なぜ、基幹システムをグローバル統合するべきなのか
そこで三田村氏は、「グループ経営の見える化、内部統制の強化」「業務効率の向上、商品やサービスの競争力強化」「スケールメリットによるシステム費用の低減」を目的に、基幹システムをグローバルで統合するという提案をする。「海外システムを導入する場合は、手組みで作ったスクラッチシステムよりもパッケージ導入することがまず考えられます。そして選定に当たっては、多言語・多通貨対応、財務報告、権限・承認管理、連結決算などさまざまな機能を満たす必要があります」(三田村氏)
その上で、同氏は、グローバルERPシステム導入時に特に注意すべき考慮事項として「システム面」「体制面」「維持保守面」の3つを紹介する。グローバルのシステム導入では、国内ITプロジェクトとは異なる観点を加えて検討する必要性があるというのだ。
特に重要なポイントは「体制面」だという。現状、日本で現地の問題を解決することは難しく、そのためにプロジェクトを開始できないことも多い。
「リーダーシップを持ったトップダウンによる推進体制、全体最適化視点を持った有識者の参加、経験が少ないと実感しています。そのためにも、グローバルでの業務効率化とシステム推進体制を整備することが重要です」(三田村氏)
さらに、システム面の考慮事項としてはシステム導入のアプローチ、標準化の範囲指定、基準の統一が重要な事項だと考えているという。
このような問題を解決するパッケージの1つとして挙げられるのが、グローバルERPシステム「Microsoft Dynamics 365」(以下、Dynamics 365)だ。日立ソリューションズでは「Dynamics 365 統合ERP構築サービス」を提供しており、グローバル経営をITでサポートしている。
全世界で1500人の技術者がいて、750社を超える導入実績を誇っているという。ここからは、その中導入実績の中から3つを挙げる。
JINSなど3つのグローバルERP導入事例、どんな課題が解決できたのか
事例1:某自動車部品メーカー/2階層ERPでグローバル連結会計を実現
ある自動車部品メーカーの課題は、海外拠点において経営に必要なデータが属人的に管理されていたこと、さらにそのデータの集計に時間がかかる上に精度が低いことだった。さらに、品目コードや集計用コードが本社と統一されていなかったため、余計な集計作業が発生していたことも課題だったという。
そこで、特に新興国の海外拠点で作ったスクラッチシステムや、現地が固有で探したパッケージ、ベンダーによる保守から、Dynamics 365に切り替えることを同社は決断したのである。
具体的なステップとしては、まずタイの販売拠点にDynamics 365を導入し拠点システムの標準化を図り、そのノウハウを生かして中国やUAEなどその他の海外拠点へと導入していった。
本社および北米や欧州など先進国の拠点では大型ERP、新興国ではDynamics 365という、2層ERPシステムで連携。さらに、本社コードへの統一化も実現し、これにより、リアルタイムでの経営データ把握が可能になったという。
事例2:某組立加工メーカー/日米英の3拠点同時にERP導入
某組立加工メーカーは日本の事業の分社化とM&Aに伴って、米国とイギリス、日本の3拠点にERPを同時導入することになった。そこで必要となったのは、各地域の税制や会計制度、そして各国独自の商習慣を一括でサポートすることだった。
これに際し、同社は日本と海外2拠点へDynamics 365の販売管理・会計機能を活用。グローバル標準テンプレートを国内で開発して他拠点に展開した。また、マルチカンパニー機能も活用した。固定資産については各国に適用できるパッケージを導入することとした。
開発期間4カ月で導入するために重要となったのはトップダウン体制の整備だ。その成功要因は、「各地域に優秀なプロジェクトリーダーを配置させたこと」だったという。現地からのリクエストには、各拠点のリーダーを中心に商習慣や現地ニーズを優先付けしてから適用していった
事例3:JINS(製造小売業)/システム運用コストを1/8に削減!
最後に紹介されたのが、アイウェア業界で新しい事業を作り出し、販売本数日本一を達成したJINSの導入事例だ。
同社は日本以外にも、中国、北米、台湾などでグローバルに事業を展開しているが、日本で導入していたERPはコスト面や導入スケジュール、導入にかかるリソースが適合できず、別のソリューションを模索する必要があった。そこで選定したのが、Dynamics 365だった。
主な選定理由は、「コスト」「導入スピード」「リテール業界の機能を持っている」ことだった。また、Dynamics 365はPOS機能を標準装備していることから、台湾にあった基幹システムでは同時にPOSも導入した。
これにより海外拠点のデータを標準化でき、国内外の販売・購買データが本社側でタイムリーに把握できるようになった。さらに「Microsoft Excel」との連携機能を活用して、マスタ更新&データ訂正工数を削減し、その分をイノベーションにつながる創造的な活動に充てられるようになったという。少人数による運用体制もあいまって、結果としてシステム運用コストを8分の1まで削減できた。
加えて、各国間とのコミュニケーションが円滑に図れるようになり、今後の連結業務も効率化できると考えているという。現在、同社ではAIなど新しいITソリューションを活用し、グローバルビジネスをリードするIT基盤を構築する計画を進めている。
さまざまなデータとの融合をDynamics 365で実現
「Dynamics 365 は CRM と ERP を統合したクラウド製品で、ERP機能を提供する Dynamics 365 for Finance and Operations はオンプレミスERPとしてグローバルに豊富な実績を持つ『Dynamics AX』が進化したものです」(斎藤氏)
会計や販売、売掛、購買、生産、在庫、プロジェクト会計などの機能を利用できるERP機能はもちろん、本番環境のプロビジョニングやアップデート、予見モニタリングなどの本番環境サービスや開発・検証環境基盤、ディザスタリカバリ、ビジネスインテリジェンス機能なども装備している。
「Office 365との連携容易性、特にMicrosoft Excelとのシームレスな連携に強みを持っている。また、強固なクラウド基盤である『Microsoft Azure』やパートナーソリューションを活用することで、IoT(モノのインターネット)をはじめとする外部からのさまざまなデータをも融合できる世界を実現できるのです」(斎藤氏)
これからの製造業には必ずデジタル経営が求められ、そのためにはグローバルITへの取り組みが不可欠だ。未来の自社の姿を考える上で、大きな困難を伴うグローバルITを実現するためのパートナーとして、ぜひDynamics 365を検討してみてほしい。
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