従来のツールとは異なる仕組みでWindows環境を最適化

　Windows最適化ツールは、ジャンルとしては特に珍しくはない。同様の製品はこれまでも数多くあった。しかし、Norskaleの仕組みは従来のツールとは根本的に異なると、Patrick氏は次のように説明する。

「Norskaleは、アプリケーションの状態をリアルタイムに分析し、ユーザーが使っているアプリケーションにメモリ、CPU、ディスクのリソースを優先的に割り当てます。従来のツールも同様の処理はしていましたが、あくまでもリソースを平準化するだけで、空いたリソースを最大限に割り当ててはいませんでした。しかし、Norskaleは独自のアルゴリズムでそれを実現しています。この技術は米国で特許を取得済みです」（Patrick氏）

　Norskaleは、大きく「エージェント」「ブローカー」「データベース」3つのコンポーネントから構成されている。データベースにはSQL Serverが利用され、ログオン時間を最適化するパラメータ、ユーザーや環境のカスタマイズ情報などが保存されている。この情報をエージェントに配布するのがブローカーだ。1つのブローカーで3000のエージェントを管理できる。そして、実際にWindowsを最適化するのが、各クライアントにあるエージェントだ。


　なお、ブローカーから配布される情報はクライアントにキャッシュされるため、エージェントは単独でも機能する。このため、ネットワークの使えない社外に端末を持ち出しても、Windowsは問題なく最適化される。

　Norskaleのもう1つの特徴が、環境に影響を与えないことだ。Patrick氏は、「Norskaleは、Windows環境に侵入してOSの内部を変更するような処理はしていません。このため、NorskaleによってOSが不安定になることはありえません」と説明する。

今後はNorskaleの有無がベンダーの競争力を左右する可能性も

　日本ではこれから本格展開していくNorskaleだが、ヨーロッパではすでにデファクトの地位を確立しつつある。アセンテック CTO システムエンジニアリング第2部 部長 ロッシ セリオ氏は、次のように強調する。

「すでにヨーロッパでは、VDI案件にSIerが入札で加わる際、Norskaleを使うケースが増えつつあります。Norskaleを使えば、より廉価なハードウェアで十分なパフォーマンスを発揮できるので、コストを大幅に下げられるからです。今後、日本でも同じことが起きるだろうと我々は考えています」（ロッシ氏）

　またNorskaleは、PCのライフサイクル延長にも効果が期待できる。新しいWindowsに移行する際、Norskaleがあれは、旧ハードウェアでも十分なパフォーマンスを発揮できるからだ。また、Norskaleはマイクロソフトのサポートが終了したWindows XPおよびWindows Server 2003もサポートしている。

「まだまだWindows XPやWindows Server 2003を使われているお客様はいます。Norskaleは、こうした環境に導入していただいても効果を発揮します。また、新しい環境に移行する際にも、ハードウェアを新規購入する必要がなくなるので、移行のハードルを下げることができます」（Patrick氏）

　なお、日本でのパートナーとなるアセンテックはVDIの専業企業として知られている。このため、国内ではVDIを最適化するツールとしての側面が強調されそうだが、物理環境にも適用可能だ。

「当社はVDI専業の企業ですので、もちろんVDI環境を最適化する最良のツールとしてNorskaleをアピールします。ただし、Norskaleが活躍できるフィールドはVDIだけにとどまりません。物理・仮想を問わずWindowsのパフォーマンスを改善できますので、アプリケーションのパフォーマンスやPCのライフサイクルに課題を抱えているお客様などに、広くアピールしていきたいと考えています」（ロッシ氏）

　従来のWindows最適化ツールの多くは、正直なところ、企業ユースに耐えられるだけの性能を期待するのは困難だった。しかし、Norskaleは違う。Windows環境のパフォーマンスを劇的に改善できて、SIerのシステム提案力に影響を与えるほどの実力を持っている。機会があれば、ぜひ、その実力をその目で確認していただきたい。