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今日のゲーム・エンタメ領域において、ブロックチェーンゲーム(NFTゲームとも言う)が注目されている。その理由の1つとして「ゲームで稼げる」ことが挙げられるが、その一方で、同様にゲームで稼ぐことのできるeスポーツは正念場を迎えている。大規模な専用施設開発も進められブームを巻き起こしているかのように思えるが、実際のところは思うような市場成長を遂げられていないようだ。その代わりに、NFTゲームに加えてある市場がeスポーツの期待していた成長曲線を描いている。今、ゲーム・エンタメ領域において何が起きているのか、解説する。
大注目のNFTゲーム、火付け役の「2つのゲーム」
ブロックチェーンは
Web3.0の根幹を成す技術で、分散型台帳の意味を持つ。ゲームの場合は不正がしにくく、発行されるゲームアイテムの固有性を担保できるため、暗号資産などで取引したり、ほかの人のアイテムを使用したりすることができる。従来のゲームと大きく異なるのはアイテムがユーザーの資産となることだ。また、ゲームの運営自体が自律分散型になって自由度が高い場合もある。
去る9月15日~18日に3年ぶりのリアル開催となった「東京ゲームショウ(TGS)2022」では、ゲームパブリッシャーのブースが精彩を欠く中、ブロックチェーンゲームなどの新たなゲームスキームが存在感を放っていた。
ブロックチェーンゲームを最初に世界に知らしめたのは、カナダのDapper Labs社が2017年に公開した「
CryptoKitties」である。子猫を仮想通貨で購入し、交配させて新しいデザインの子猫を創造することができ、それをトレードしたりコレクションしたりするゲームである。NFTとして子猫のキャラを売買することができ、希少性のある子猫には高額な値段がついて大きな話題となった。
また、ブロックチェーンゲームはゲームで稼ぐという意味の「
Play to Earn(P2E)」でも注目されている。ここで火付け役になったのは、ベトナム発のブロックチェーンゲーム開発会社、Sky Mavis社が提供する「
Axie Infinity」だ。
これは、「アクシー」と呼ばれるキャラクターを購入し、バトルや交配をすることでアセットやトークンを入手するゲームだ。アセットやトークンは売却することによって仮想通貨に替えることができる。コロナ禍ではフィリピンの低所得者層がこのゲームで収入を得たことが大きな話題となった。初期投資が必要なキャラクターを貸し出したり、それを借りてプレイして稼いだり、まるで地主と小作人のようなスカラシップも生まれている。
My Crypto Heroesなど日本での市場拡大も期待
一方、ブロックチェーンゲームに対して否定的な意見の人もいる。なぜなら、金銭的なやり取りがあるにも関わらず、法的整備やセキュリティ対策が追い付いていないからだ。日本国内では、場合によっては賭博法や景品表示法に抵触する可能性もある。さらに、詐欺や不正アクセスも見られ、「Axie Infinity」も2022年4月に大規模なハッキングがあった。
また、稼ぐことばかりに目が行くことに警鐘を鳴らしている人もいる。Axie Infinityをプレイすることで獲得できる仮想通貨のSLPが暴落したことで、Axie Infinityは以前ほど稼ぎにくくなった。ブロックチェーンゲームの先行きを不安視する声も納得できるところだ。
そのような状況においても、ブロックチェーンゲームには猛烈な勢いで世界中の投資と人材が流れ込み、良くも悪くもブロックチェーンゲームへの期待が拡大している。日本国内でもブロックチェーンゲームの開発が行われており、double Jnmp.Tokyo社の「
My Crypto Heroes」が有名である。
スクウェア・エニックスやセガ、グリーも投資や開発参入を発表しており、開発が拡大していく可能性がある。
今回の東京ゲームショウでもコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)、ソーシャルゲーム(スマホアプリ)に次ぐ新しいゲームとして、ブロックチェーンが紹介されていた。ブロックチェーンギルドのYGGJAPANのブースでは、格闘ゲーム「キングオブファイターズ」やソーシャルゲームで人気だった「ブレイブ フロンティア」など、国内の人気ゲームをブロックチェーン化し、来場者にはNFTカードを取得できるQRコードを配布していた。
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