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PwCの推計によると、2021年に2,142億ドルだったゲーム市場は今後さらに成長を続け、2026年に3,211億ドルに達する見込みだ。これは、ニュージーランドやフィンランドのGDPを超え、シンガポールやマレーシアに並ぶ規模である。今後ゲーム市場にはマイクロソフトに加えアマゾンなども本格参入する可能性が高まっている。ゲーム市場におけるテック大手の最新動向を探ってみたい。
“急成長”するゲーム市場
今後数年でシンガポールやマレーシアのGDPに匹敵する規模に拡大すると見込まれるゲーム市場。687億ドルという巨額資金でゲーム大手Activision Blizzardの買収計画を進めている
マイクロソフトの動きが目立っていたが、この先アマゾンやアップルなどの動きが活発化するかもしれない。
ゲームは、市場そのものが
成長を続けるだけでなく、若い世代の視聴時間を取り込めるなどさまざまな利点があり、GAFAMにとって無視できないものとなっている。
PwCの推計によると、2021年時点のゲーム市場規模は2,142億ドルである。2017年の1,204億ドル、2018年の1,392億ドル、2019年の1,624億ドル、2020年の1,969億ドルと着実に成長を続けている。
今後も2022年に2,357億ドル、2023年に2,571億ドル、2024年に2,784億ドル、2025年に2,999億ドルと成長が続く見込みで、2026年には3,211億ドルに達すると予想されている。
2026年の達成見込みの3,211億ドルは、2022年9月21日時点の為替レートで約46兆円。この額は、現在のシンガポールGDP(約3,700億ドル)、マレーシアのGDP(約3,700億ドル)、ベトナムのGDP(約3,600億ドル)に近い規模となる。また、ニュージーランドのGDP(約2,500億ドル)、フィンランドのGDP(約3,000億ドル)を超える規模でもある。
急拡大するゲーム市場の成長を担うのがソーシャル/カジュアルゲームと分類されるジャンル。2021年は1,480億ドルと全体の70%を占めていた。この割合は、2026年には75%(2,427億ドル)に増える見込みだ。
また、若い世代がソーシャルメディア視聴よりもゲームをプレイする時間が長くなる傾向があると指摘している。たとえば、10代の間ではTikTokよりもフォートナイトやRobroxなどのゲームプレイ時間の方が長いという。
米大手ゲーム会社をめぐるアマゾンやアップルの動き
2022年8月末には、ゲーム会社大手Electronic Artsの買収をめぐりGAFAM関与の臆測が流れたばかりだ。
8月26日、いくつかのゲームメディアはUSA Todayの情報として、アマゾンがElectronic Arts買収に向け、正式オファーを提出したことを発表すると
報道。一方、
CNBCは同日の記事で、複数の情報筋の話として、アマゾンによるElectronic Artsの買収オファーはないと報じるなど、情報が錯綜(さくそう)した。
Electronic Artsは、サッカーゲーム「FIFA」やシューティングゲーム「エーペックスレジェンズ」で知られる企業。開発とパブリッシャーの役割を果たしている。
注目されるのは、その収益規模で、マイクロソフトが買収を計画しているActivision Blizzardに並ぶ。買収額も相応の規模になるとみられる。
Statistaのデータによると、2021年のActivision Blizzardの収益は88億ドル。2020年は80億ドルだった。この収益規模に対し、マイクロソフトは687億ドルを提示。収益の8倍ほどの評価がつけられたことになる。
一方、
Electronic Artsの収益は69億ドル。単純に収益の8倍とすると、買収額は約552億ドルほどとなる。日本円換算では約8兆円に上る規模だ。
このElectronic Arts買収に関しては、アマゾンのほか、アップルやディズニーも買収交渉に参加したともいわれている。
ゲームメディアVGCは2022年5月21日にニュースメディアPuckの情報として、Electronic Artsが売却先を積極的に探しており、その過程でディズニー、アップル、アマゾン、コムキャストなどと交渉したと報じていた。この時点で交渉が最も進んでいたとされるのがコムキャストだったが、最終的に交渉は決裂したと報じられている。
【次ページ】GAFAMによる買収動機が強まる理由
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