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- 2022/06/14 掲載
水素ビジネスは130兆円市場へ、「次のテスラ」として注目集める水素系企業とは
次のテスラは水素分野から登場?
EV(電気自動車)で世界を席巻したテスラ。その株価は2年で倍以上になり、今は「次のテスラ」がどこに現れるのかという議論が盛んに行われるようになっている。メタバースやAI分野で出現する可能性もあるが、今、米国の投資家・プレーヤーが注目しているのは「水素分野」だ。
大手金融機関からも水素市場の可能性を示すレポートが複数発表されており、水素産業を推進しようというムードが高まっている。
ゴールドマンサックスの予測レポートでは、水素市場は2050年までに年間1兆ドル(約130兆円)以上の規模に膨れ上がる可能性が指摘されている。現在、その規模は1,250億ドル(約16兆2,667億円)。今後30年ほどで、8倍以上拡大することになる。
水素はその生成過程によって、呼び方が異なる。水素生成で利用される電力が石油で発電されている場合は「グレー水素」、天然ガス/二酸化炭素貯留技術を用いて生成される場合は「ブルー水素」と呼ばれている。一方、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで発電された電力によって生成される水素は「グリーン水素」と呼ばれている。
カーボンニュートラルの観点から注目されているのは、グリーン水素であり、水素産業の拡大の可能性は、グリーン水素の普及にかかっているといっても過言ではない。
これまで再生可能エネルギーのコストが非常に高く、グリーン水素の生産コストもグレー水素やブルー水素に比べ高く普及の壁になっていたが、ウクライナ情勢などの影響を受け、状況は大きく変わりつつある。
PwCの予想では、2050年にはグリーン水素の生産コストがグレー/ブルー水素を下回る見込みだ。
水素関連で注目される米国企業
米証券取引所のNASDAQも2022年5月17日に同ウェブサイトで、「11兆ドルの変革、水素関連銘柄から『次のテスラ』出現」と題した記事を公開し、水素関連株を後押しする姿勢を明確に打ち出している。11兆ドルは日本円でおよそ1,500兆円にのぼる。日本ではあまりニュースにはならないが、米国では時価総額7兆円以上の企業などが国内外ですでに多数の水素プロジェクトを推進しており、未来の水素産業を担う企業として注目を集めている。
注目企業の1つは、2022年6月初旬時点の時価総額が540億ドル(約7兆円)のエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)だ。日本ではほぼ無名の企業だが、産業ガス大手の一角で、S&P500指数の構成銘柄に属し、2万人ほどの従業員を抱える。
産業用のガス供給を担っており、そのエネルギー供給インフラ/ネットワークを活用した水素生産・供給プロジェクトにも乗り出している。
たとえば同社は2021年10月、米ルイジアナでブルー水素生産に向け45億ドル(約5,855億円)を投じる計画を発表。また、サウジアラビアではサウジアラムコとカーボンフリーの水素事業でジョイントベンチャーを実施しているほか、カナダでもネットゼロの水素プロジェクトに乗り出すなど、国内外で活発な取り組みを見せている。カナダでのプロジェクトは、2024~2026年にサービス開始予定という。
中東は現在、積極的に水素投資を拡大しており、今後も技術・ノウハウを持つ先進企業との協業が増えてくる公算は大きい。特に、アラブ首長国連邦(UAE)は、2030年まで低二酸化炭素水素市場で25%のシェアを獲得することを目標とした「水素リーダーシップ・ロードマップ」という国家戦略を掲げており、積極的な協業や投資が実施されることが見込まれる。
【次ページ】米国企業、欧州や中東でも水素プロジェクトに関与
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