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- 2022/04/08 掲載
ベゾスやMSも出資、BlocPowerの「グリーンレトロフィット」による革新
ニューヨークの街をグリーン改造するスタートアップ
今後10年で100億ドル(約1兆2,000億円)を拠出する「ベゾス・アース・ファンド」やマイクロソフトによる10億ドル(約1,200億円)の環境テック投資イニシアチブ「Climate Innovation Fund」など、テック大手企業による「環境投資」は年々拡大しつつある。こうしたテック大手による投資拡大に加え、行政による資金援助や法規制整備などにより、これまで難しいとされたビジネスを展開するスタートアップも増えている。
ニューヨークを拠点とするBlocPowerはそんなスタートアップの1つといえるだろう。
ベゾス・アース・ファンドから550万ドル(約6億6,000万円)、またマイクロソフトから3,000万ドル(約36億円)を調達、さらにファストカンパニーの「2022年最も革新的な企業ランキング」で4位にランクインするなど、最近、米メディアの注目を集める存在となっている。
BlocPowerは、旧式の建物で利用されている古い暖房・冷房システムを高効率・低コストの新システムに入れ替えるリースサービスを展開するスタートアップだ。
旧式の建物では、化石燃料をベースとする古い暖房・冷房システムが使われている。これらの古いシステムは、燃料効率が悪く、温室効果ガスの排出や空気汚染を引き起こす。
BlocPowerによると、新システムに入れ替えることで、旧式建物であってもエネルギーコストを30~50%削減、また温室効果ガス排出を40~70%削減できるという。
BlocPowerの実績
同社はすでにニューヨーク市で、1200棟以上の建物に新システムを導入。内訳は、多世帯集合住宅が800棟、一軒家が250戸、礼拝所・小規模企業オフィスが100軒以上。この実績により、ニューヨーク・イサカが実施する2030年までにカーボンニュートラルを達成するプロジェクトへの参加も決まった。イサカのプロジェクトでは、第1フェーズとしてまず住宅を含め計1600棟の建物に新システムを導入する予定という。
現在ニューヨークのほか、カリフォルニア、マサチューセッツ、ジョージアなど他の都市での展開も計画している。
米国では、多くの建物で化石燃料ベースの暖房・冷房システムが使われている。住宅用建物から排出される二酸化炭素は、年間9億立方トンと、交通セクター、産業セクターに次ぐ3番目の規模。BlocPowerは、今後10年で住宅セクターからの二酸化炭素排出を25%削減できると見込んでいる。
【次ページ】スマート/サステナブルビルディングをめぐる議論
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