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  • 2025/03/13 掲載

建設業の倒産「過去最多」の3大原因、ついに始まった「ゼロゼロ融資」返済も特大影響

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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帝国データバンクの調査によると、2024年における建設業の倒産件数は1890件と、過去10年で最多となりました(図1)。特に目立つのは、小規模事業者の倒産が約9割を占めているという事実です。これは、建設業が抱える深刻な構造的な課題を浮き彫りにしています。そこで本記事では、倒産動向が映す建設業界の課題を整理し、業界全体が直面している構造的な問題点について考察します。
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図1:倒産件数が過去10年で最多となった背景には何があるのか
(帝国データバンクのレポートより編集部作成)

倒産急増の原因(1):資材価格の高騰

 建設業界における倒産の増加は、主に3点の要因が起因していると分析されています。1つ目が資材価格の高騰です。木材や鋼材、コンクリートなど主要建築資材の価格が高止まりしています。

■木材価格
 木材価格は、世界的な建築需要の高まりによって木材価格の高騰や納期遅延など(いわゆる「ウッドショック」)が発生したことによって急激に上昇しました。コロナ禍では、生産活動の停止や物流の停滞によってサプライチェーンが世界的に混乱し、木材の供給が不足したほか、ロシアによるウクライナ侵攻でロシア産木材の輸入が制限されるなどで、供給不足は一層深刻化しています。これらの要因が重なり、木材価格の高騰が続いています。

■鋼材価格
 鋼材価格も同様に上昇傾向にあります。鉄鉱石の生産地における新型コロナの感染拡大や、国内の大手鋼材メーカーが高炉の休止に着手したことなどが影響しています。これにより鋼材の供給量が減少し、価格が上昇しています。

■セメント価格
 コンクリートの主原料であるセメント価格の上昇も見逃せません。セメントの製造過程で石炭が使用されますが、この石炭価格が上昇しています。特にロシア産の石炭を使用しているメーカーは、燃料調達の変更に伴いコストが増加し、その分をセメント価格に転嫁しています。

物価高倒産「3年で10倍超」

 これら資材価格の高騰は倒産件数の増加に大きく影響しました。先で示した2024年の倒産件数1890件のうち、1割(250件)が物価高倒産であり、2021年に比べると10倍以上に急増しています(図2)。

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図2:物価高倒産の件数はコロナ禍以前に比べて10倍以上に急増している
(帝国データバンクのレポートより編集部作成)

 特に価格交渉力の弱い中小事業者にとって大きな負担となっています。事実、全倒産件数のうち9割が従業員10人未満の小規模事業者(1742件)です。

 材料費の増加分を受注価格に転嫁することが難しく、利益率の圧迫や採算割れのリスクが高まっているのです。元請け業者であっても、受注単価への転嫁が難しい状況が続いており、下請け業者も元請け業者の影響を受け、こちらも厳しい状況に直面しています。 【次ページ】倒産急増、「もう2つ」の原因
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