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- 2024/10/11 掲載
建設業で「週休2日制」は導入すべき? メリットだけではない業界内の「厳しい現状」
連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル
建設業で「週休2日制」が導入されるワケ
建設業における週休2日制の導入は、労働者の健康やモチベーション向上に大きな効果が期待されます。特に、長時間労働が常態化している建設業界では、休息日を増やすことで、過労やストレスの軽減が図られます。労働安全衛生法では、企業に対して労働者の健康管理を義務付けており、週休2日制の導入はその法的要件を満たす有効な手段となります。具体的には、過重労働による脳・心臓疾患などの発症を防ぐため、長時間の時間外労働や休日労働などを行う労働者に対して、事業者は医師による面接指導を行うことになっています。
休息時間の増加は労働者の疲労回復を促し、結果的に事故やミスの減少、そして成果の向上につながるでしょう。実際に、建設業でも週休2日制を導入した結果、従業員の満足度が向上した事例が報告されています。
そのため、建設業でも週休2日制を導入することで、労働時間の短縮や休息日の確保が可能となり、従業員の満足度や健康の向上、離職防止に寄与し、最終的には企業の長期的な利益にもつながることが証明されつつあります。
建設業の週休2日制はデメリットの方が多い?
しかし、週休2日制の導入は、現在の建設業界にとっては必ずしもメリットだけではありません。デメリットのほうが多い場合さえあります。現状でも、建設業では月曜日から土曜日勤務といった、週6日勤務が常態化しています。そのため、週休2日制を導入すると、企業の売上減少が懸念されます。また、日給制の従業員にとっても、勤務日が週6日から週5日に変更されることで、給与が約17%減少してしまいます。
一方、月給制の場合は、基本給を減らさない限り、企業の固定費が変わらないため、週1日の勤務日減少を業務効率化でカバーできなければ、工期が延び、年間売上や利益が減少するリスクも高まります。
こうした点から、法律の施行によって休みの日が増えることを単純に喜べない経営者が多いのも事実です。そのため、これらの課題を総合的に捉え、業界全体の発展に向けて、「ヒト」と「お金」を連鎖的に考える視点が非常に重要です。 【次ページ】建設業の週休2日制は「義務化」ではない
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