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  • 2024/01/16 掲載

“バレなきゃ大丈夫”はもう終わり…建設業の「2024年問題」で企業に科される罰則とは

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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建設業の働き方改革について、「そんな余裕はない」「法律どおりに時間外労働を減らすと、会社が倒産する」「付き合いがあるから、土曜日出勤をなくすのは難しい」「正直、他人事だと思っている」といった現場の声を多く耳にします。しかし、働き方改革が大変だからといって何も対策を講じることなく放置をしてしまったり、法律を破ってしまったりすると、罰則が科されることになります。働き方改革を他人事と思わないためにも、違反した場合のペナルティや労働基準監督官がやってきた際の対応について、解説したいと思います。
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働き方改革に違反した企業に課せられる罰則とは…
(Photo/Shutterstock.com)

突然やってくる「労働基準監督官」とは

 実際に現場で働いている従業員の中には、労働基準監督官がいきなり建設現場にやってきて、現場のチェックをしていた、という場面に遭遇した方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、建設業が、転落や重機との接触といった労働災害のリスクがほかの産業と比べて非常に大きいことから、事前に事故等を予防する目的があります。

1ページ目を1分でまとめた動画
 労働基準監督官というのは、労働基準法や労働安全衛生法等の法律について、企業への指導や取締り等を行っている人のことです。

 そして、労働基準監督官は、非常に強力な権限を持っており、事業場等への立入や帳簿の提出等を企業に対して求めることができるだけではなく、警察のような「逮捕権」も持っています。

 悪質だと判断される案件では、この逮捕権を行使することもありますので、企業の対応者は、注意する必要があります。

 そして、労働基準監督官は、建設業の働き方改革に関して、2024年度以降に大きく動いてくる可能性があります。

 これまで、時間外労働・休日労働については、36(サブロク)協定を結んだ時間の範囲内で、割増賃金を適切に支払っていれば問題はありませんでした。

 しかし、2024年4月以降は、時間外労働・休日労働に制限が設けられるため、この制限された時間を超えた場合には、いくら適切な割増賃金を支払っていたとしても法律違反となってしまいます。そして、最悪の場合ですと、罰金刑や懲役刑に処せられてしまうのです。

「バレなきゃ大丈夫」はもう通用しない

 中には、「バレなきゃ大丈夫だろう」と考えている経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、自分たちがいくら違法な時間外労働・休日労働を従業員にさせていたことを隠していても、明るみに出てしまうことがあります。

 一番考えられるきっかけとしては、従業員が自ら労働基準監督署に駆け込んだ、というような場合です。

 今後、建設業の働き方改革は、テレビやSNSなどでさらに注目されることが予想されます。すると、従業員にも働き方改革に関する情報が、より入ってきやすくなり、「労働時間」「時間外労働」といったワードにアンテナが立つようになります。

 そして、違法な時間外労働に対する未払い残業代請求といったような事案が増えてくるでしょうから、従業員が「自分も同じような大変な目にあっている」と思い、労働基準監督署に通報される可能性があります。

 このような場合、労働基準監督署としては、その従業員が働いている職場の問題であるということもあり、情報としては極めて信用度が高いと判断し、労働基準監督署として何かしらのアクションを起こしてくることになります。

 そうすると、いきなり事業所に労働基準監督官がやってくる、そうでなくても、電話等での問い合わせがある、といったことがあり得るのです。

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いい加減な労務管理は従業員に通報される可能性も
(Photo/Shutterstock.com)

 また、各都道府県の労働局では、毎年度「労働行政運営方針」というものを定めています。これは、厚生労働省が決めた労働行政運営方針に従っておのおのの労働局で策定するものです。

 令和5年度の方針の中に「長時間労働の抑制および過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヶ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場および長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する」とあり、1ヶ月当たり80時間を超えていると疑われた場合には、労働基準監督署が監督指導をしにやってくる可能性があります。

 さらに、これまで毎年提出している36協定の労働時間の申請実績で、かなり残業時間を強いていたような事業所であれば、すでに目を付けられている場合もあります。

 つまり、いい加減な労務管理をしていると疑われるような企業には、労働基準監督署が現場にやってくる確率が高まるということです。 【次ページ】どうする?行政指導の対象になった場合
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