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  • 2023/12/12 掲載

「絶対にやってはいけない」建設業の働き方改革、企業が陥りがちな“落とし穴”とは

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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「建設業の2024年問題」において、働き方改革は急務とされています。しかし、自社の課題を理解せず、経営者の独断で対策に取り組んでいる企業がいまだに多く見受けられます。働き方改革の実現には、困難となる障壁がいくつかありますが、経営者が従業員目線で向き合わない限り、どれだけ頑張ったとしても結果的に遠回りをすることになってしまいます。建設業の働き方改革を阻む障壁を企業はどのように乗り越えていくべきなのか、これまでの筆者の経験や現場の声を踏まえて解説します。
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建設業の働き方改革を阻む障壁を企業はどのように乗り越えていくべきなのか
(Photo/Shutterstock.com)

従業員を縛る「ワンマン経営」には要注意

 目前に迫る「建設業の2024年問題」に対して、なぜ建設業の働き方改革は進まないのでしょうか。1つ目に挙げられるのが「ワンマン社長」による会社経営です。

 建設業の社長は、これまで事業を自分の手で成功させてきた実績があることから、自信に満ちあふれており、社長自身の個の能力が高い傾向にあります。

 そうした背景から、現場の従業員などからは、「社長が色んなことを全部決めてやっているので、自分たちには選択権がない」といった声をよく耳にします。

 働き方改革では、従業員の時間外労働を減らすことが求められるため、従業員の抱えている業務量や、その従業員が普段どのような段取りで、どういった姿勢で業務を行っているのかを知る必要があります。

 そして、従業員の能力・得手不得手などによって、適材適所の人員配置を行い、業務量を適切に配分するということも求められるでしょう。こういった施策を行うためには、社長が従業員と同じ目線で物事を考えることができるか、といったことも重要なポイントとなります。

 そのため、前提条件として、従業員との間に知識や経験など、大きな能力差があることは当たり前、ということを理解しておく必要があるのです。この理解ができていないと、「全員使えない」といった判断をしてしまう可能性もあるのです。

 なぜ、こういった当たり前のようなお話をするのかと言うと、労働者の仕事に対する「やる気」が、そのまま業務効率化につながることも多いからです。

 このやる気を上げていくためにも、それぞれの従業員が考えていることや持っている能力、得意なこと、苦手なことなどを社長自らが把握しておかなければなりません。自身と同じ能力を求めたり、ワンマン経営に陥ったりせず、従業員の意見に常日頃から、耳を傾ける姿勢を持っていることが結果として事業全体をよくするのです。

漠然としたスローガンは現場の混乱を招く

 続いて、建設業の働き方改革をすぐに実現したいという焦りから、組織全体に意図が浸透しないことも非常に大きな問題として挙げられます。よくあるのが、「時間外労働を減らそう」という漠然としたスローガンを掲げただけで、後は各々の部署や人にお任せといったパターンです。

 現場の声としては、「いやいや、今の仕事で手一杯なのに、どうやって労働時間を減らすんだよ……」という話をよく聞きます。

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現場で働く人の努力だけではどうにもならないことも…
(Photo/Shutterstock.com)

 ほとんどの企業において、毎日時間が有り余っているような人がたくさんいることなど、まずないでしょうから、従業員は、それぞれの仕事をこなすのに手一杯になっています。

 その上で、「時間外労働を減らすために努力をしてほしい」と言われても、各々の努力だけでは何ともならないものです。上記のような企業では、普段の業務も従業員が連携/協力できていないことが多く、その結果、ムダな作業が発生しているということもよくあります。だからこそ、働き方改革に取り組むといった際には、最初に「組織全体で話し合う」ということが大切になります。 【次ページ】勝手なシステム導入はかえって「時間のムダ」
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