0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
近年は自動運転車のほかにも、無人ロボットやドローンの開発も進んでいます。これらの無人機械の多くが開発当初は人間が遠隔操作をする方式となっていましたが、人工知能(AI)の発達に合わせてAIによる自動操縦が行われるようになってきました。AIによる操作や画像認識と合わせて進歩を続ける無人ロボットやドローンについて、簡単にご紹介していきます。
空中を移動する「ドローン」の仕組み
「ドローン」は一般的に「無人航空機」のことを指し、無人ロボットの一種です。航空機だけドローンと呼ばれて別枠で扱われているのは、航空機の無人操縦が自動車などに比べるとかなり早く登場し、無線を使った遠隔操縦も早期に実用化されたからです。
空は地上に比べて障害物が少なく、視覚による認識能力よりも計器による操縦能力が重視され、電波も届きやすいことから自動車や船舶に比べると自動操縦や遠隔操作が容易です。
ドローンの自動操縦は、航路を決定し、後は各種計器・GPS・慣性誘導装置に従って飛行するだけなので車に比べると遥かに簡単なプログラムで実現できます。その結果、小さなモーターを組み合わせるだけで飛行可能な小型軽量のドローンは誰でも手に入る安価な監視・運搬ツールとして一般的になりました。
そして町中を飛行できるようになり、ドローンの用途が拡がると、ドローンが画像認識などの高度なAIを搭載して障害物の多い町中や場合によっては屋内を飛行するようになります。ドローンを使って広大な農地・工場・発電施設などを監視し、画像認識によって異常が発見されれば早期に通報されるという仕組みです。場合によっては農薬散布や消毒・清掃作業なども行えるようになり、ドローン1つで広大な施設の管理ができるようになっています。
こうした画像認識とドローンを組み合わせたアプローチは飛躍的に広がっており、道路・トンネル・橋梁・線路・電線といったインフラの監視、事故や災害における状況把握に加え、警備に農業と「目」が必要なあらゆる場面に投入されています。
地上・海上・海中を移動する「無人ロボット」の仕組み
無人機の活動領域は空だけではなく、地上や海にも広がり始めています。レベル4以上の人間が不要な自動運転車のある種の無人機と言えますが、人を乗せる以外の用途で使われる運搬ロボットや警備ロボットも登場しています。
レーダーやソナーを搭載する自動運転車に比べると、小型の無人ロボットは速度が遅く軽量なため人を殺傷するようなリスクがありません。道交法のような影響を受ける法規制も限られています。
しかし、地上は障害物や起伏が多く、無人操縦はドローンのようには行きません。移動範囲を限定することで、道路や歩道、屋内のみで使えるようなロボットが登場しているほか、人間や動物のような足を持つロボットを開発することで、階段や不整地などを人間と同じ用に移動できるロボットも開発されています。
そしてこうしたロボットの活躍を助けているのがさまざまな種類のAIです。カメラや赤外線センサーのような光学機器による画像認識に加え、ソナー・レーダー・GPS航法装置を組み合わせて位置の把握や状況認識を行っています。
こうしたロボットは物資の運搬、施設の警備・清掃、事故や災害の初動対応に用いられるほか、介護支援やコミュニケーションのツールとしても使われています。比較的人間に近い場所で活動するため、そのタスクは人間の直接的なサポートが主になります。ドローンに比べると2021年の時点では応用範囲が狭いものの、そのポテンシャルは高く、AIと組み合わせることで大きな成長が期待されます。
また、自動運転トラック・ドローン・無人運搬ロボットを組み合わせることで、物流プロセスのほとんどを無人化するアプローチも研究されています。工場や倉庫などの中継拠点は無人トラックで移動し、一般家庭にはロボットやドローンで届けるという配達が当たり前になるかもしれません。そうなれば人間はそうしたロボットやAIを監視することが仕事になるでしょう。
【次ページ】工場で活躍する「組立ロボット」の仕組み
関連タグ