- 会員限定
- 2020/05/26 掲載
誤解してはいけない「70歳定年」、70歳就業確保法で示された「7つの働き方」とは?
70歳までの就業確保、しかし70歳まで会社にいられるとは限らない
70歳までの就業機会を確保するための「70歳就業確保法」と呼ばれる改正法が、3月31日に成立した。ネット上では「70歳までなんて働けない」といった声が多く聞かれる一方で、「70歳まで会社にいられるならありがたい」といった感想を持つ方もいるが、本当にそうなのだろうか?前回も解説したが、高年齢者雇用安定法、雇用保険法の改正など計6つの法律をまとめた「70歳就業確保法」は、70歳までの就業機会の確保を企業の「努力義務」とするものだ。必須ではなく、70歳まで雇用しないからといって現状、罰則はない。
しかも、もう1つ気をつけなければならないことがある。それは、企業が必ずしも自社で70歳まで雇用し続けなくてもよい、ということだ。ともすると、65歳の時点で会社員ではなくなってしまうかもしれない。それはどういうことなのか。
法律で示された65歳から70歳までの働き方 7パターン
実は「70歳就業確保法」における「就業機会の確保」は、これまでの60歳定年や65歳までの継続雇用から大きく変化している。多くの方が終身雇用は過去のものだと思っていると思うが、それでもこれまでは企業が責任を持って定年まで雇用する、その定年の年齢を引き上げる、という制度だった。
しかし、「70歳就業確保法」では、70歳までの働き方として会社員以外の働き方も提示されているのだ。つまり、65歳で会社員生活が終わり、会社を去る可能性があるということである。
今回、「70歳就業確保法」では、65歳から70歳までの働き方のパターンとして、次の7つが示された。
- ・定年延長
- ・定年廃止
- ・契約社員などでの継続雇用
- ・他社への再就職
- ・フリーランス
- ・起業
- ・社会貢献活動参加
これらのいずれかの働き方による就業機会の確保を、企業は労働組合との話し合いで決定することとなる。
65歳までの継続雇用が義務付けられた際は、「定年延長」「定年廃止」「契約社員などでの継続雇用」の3パターンで、いずれもそのまま自社での雇用が続くものだったが、自社で雇用する以外の働き方が4つ追加された形だ。
「他社への再就職」であれば、これまでの会社は去るものの、正社員という立場は続くかもしれない。しかし、「フリーランス」や「起業」だと雇用される立場ですらなくなる。「社会貢献活動参加」もボランティアとの違いが不明で、どれくらいの収入が得られるのか、イメージしにくいだろう。
就業機会の確保が目的であるため、「フリーランス」や「起業」の場合、企業は支援を行うだけでなく、長期的な業務委託契約を締結するよう求められるとの話もあるが、まだ具体的な内容は分かっていない。
つまり、来年4月1日に「70歳就業確保法」が施行されると、70歳まで働き続けるためのさまざまな環境が登場するが、必ずしもこれまでの会社に残れるわけではないということだ。しかもそれは、労働者が選ぶことはできない。会社に残りたくてもフリーランスや起業の道が用意されるかもしれないし、フリーランスに興味があっても、定年が延長されるかもしれない。
【次ページ】「70歳就業確保法」でこれから何が起きるのか?
関連コンテンツ
PR
PR
PR