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空前の人材不足時代、この先企業はどのように社員を魅了し続けていけばよいのか。テクノロジーと企業経営の未来を考えるカンファレンス「SPIC2019」で、カオナビ、Unipos、アトラエらHRテック企業と、各社サービスのユーザー企業であるミュゼプラチナム、Sansan、グロービスが登壇。今求められる社員への向き合い方について幅広い角度から議論された。
執筆:吉田育代、編集:ビジネス+IT編集部 本橋実紗
執筆:吉田育代、編集:ビジネス+IT編集部 本橋実紗
従業員のエンゲージメントを高めるSaaS群
人材不足が叫ばれ続けている昨今、企業が人を選ぶ時代はすでに終わりを告げた。こうした中で、従業員との距離感に悩む経営陣や人事担当者は多いのではないだろうか。貴重な人材の離職を防ぐためにも社員のモチベーションを維持しエンゲージメントを高められる仕組みづくりが重要視される中で、その解決を手助けするSaaSが多く登場している。
「SPIC 2019」はSaaSユーザーの生の声を発信することを目的に、サービス提供企業によるサービス概要の説明後に、ユーザー企業による導入体験とディスカッションを行う構成で進行された。
「エンゲージメント向上で実現する未来の組織マネジメント」と題されたセッションでは、従業員のエンゲージメントとマネジメント関連サービスを提供する3社と各サービスのユーザー企業3社が顔をそろえた。
カオナビは、顔写真が並ぶクラウド人材管理システムである。カオナビ 取締役副社長 COO 佐藤寛之氏は、以下のように語る。
「カオナビは、人の才能や個性に関する情報を一元管理し、経営層に提供するツールです。“Javaエンジニアで、債券の知識があって、30歳以下”といった人材検索を人事部門では日々行われていると思いますが、セキュアな環境でそのような情報をしかるべきメンバーで利用することで人材活用を進めていけます」
一方、Unipos は“共に働く仲間とオープンに送り合う新しい成果給”をコンセプトに、Uniposというピアボーナスサービスを提供する企業である。
Unipos 代表取締役社長 斉藤知明氏は、エンプロイ・エクスペリエンス(組織内での従業員の体験価値)が設計思想の中心にあると語った。
「従業員同士がピアボーナス(少額の成果給)とともに、感謝・称賛のメッセージを送り合うことで、お互いが会社にどのような貢献をしているのかを知り、知ることによって互いを認め、信頼し合い、ボトムアップで元気になっていく文化を作っていくサービスです」
従業員が「ピアボーナスを送る」という主体的な行動を起こすことによって、人事制度が勝手に作られていくことを目指しているという。
アトラエは、アンケートを通じたエンゲージメント測定サービス wevoxを提供する。
「wevoxはわずか2分の回答負荷で、終わった瞬間に結果が出るサーベイツールです。また測定するだけではなく、課題を特定して企業の成長を加速させる解決策までフォローしています」(アトラエ 湊健二氏)
サービス名の「wevox」には、従業員の「私たちの声」が組織を変えるという意味が込められているそうだ。
事例その1:悩みは3000名超えの人材管理
美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を展開するミュゼプラチナムは、カオナビを導入したという。
同社には、198店舗に3000名を超える現場スタッフが存在する。これまで自社開発の人事管理システムを利用していたが、どのような人材がどこにいるか把握しづらい状態だった。
顔と名前が一致するサービスはないかと調査を開始し、全国の現場を飛び回っていた社長も後押しする形で導入を決定したという。
同社 人事部部長代理 畠中裕一氏は、モデレーターを務める松尾慎司に人材採用環境の変化について問われ、次のように語った。
「現場スタッフは平均 20代半ばと若く、離職に抵抗がないため、われわれは常に年間1000名規模で採用を続けています。しかし、この1~2年は以前ほど採用できなくなっており、採用活動とともに離職対策に力を注がなければならなくなってきました」
同社では、人が抜けることを前提に採用計画を設計する必要性を以前から感じており、そのための仕組みづくりに3~4年かけて取り組んでいるという。
【次ページ】Sansan、グロービスの事例。気になる各ツールの導入効果は?
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