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- 2019/02/01 掲載
キーエンスはなぜこんなにも強いのか、営業利益率55%を叩き出す「カイゼン」とは?
キーエンスが取り組む、営業現場におけるOMO
キーエンスの2018年3月期の業績は売上高5,268億円、営業利益2,929億円と営業利益率はメーカーとしては驚異的な55.6%である。とかく「直販体制」「コンサルティング営業力」という部分に注目されがちなキーエンスだが、その強さの本質は、「1. コンテンツを軸にしたリードジェネレーションのカイゼン」と「2. 徹底された多面的な顧客管理(ナーチャリング)のカイゼン」といった営業現場におけるOMO(Online Merge Offline)にある。
OMOとは近年中国の小売業界を中心に注目をされているオンラインとオフラインが融合した施策のことを指す。つまり、営業現場におけるキーエンスのリードジェネレーション / ナーチャリングのカイゼンの積み重ねにこそ、同社の強さの本質が見え隠れするのだ。ここからは筆者が独自取材した内容を元に、トップランナーであるキーエンスのOMOの実像について、解説したい。
強さの秘密1:コンテンツを軸にしたリードジェネレーションのカイゼン
リードジェネレーションとは、文字通りリード(=引き合い)を生み出すことを指すが、キーエンスにおけるリードジェネレーションのカイゼンは他社のそれを圧倒している。メーカーでも、メールマガジン等をユーザー向けに発行したりMAツールを活用してユーザー行動をトラッキングしたりする企業も増えてきたが、キーエンスは10年以上前から内製システムにて上記を実現しており、実践知を積み上げてきた。
特筆すべきは、メールマガジンだけでなく、ホワイトペーパー等の配信コンテンツを全て内製している点にある。キーエンスが公開しているコンテンツ数は4万点を超え、技術資料やマニュアルだけでも2,000点を超える。
毎月事業部から上げられたユーザーからの要望をもとに、「技術資料化すべきもの」を事業推進部がチェックし、一般公開とメールマガジンでユーザーに配信するという流れをとっている。
また、センサーだけでなく、制御系機器のありとあらゆるカテゴリのキーワードでGoogle検索では上位表示されるようになっている。
メールマガジンによる既存ユーザーからの新規リードとGoogle検索による新規ユーザーからの新規リードが、コンスタントに生み出される仕組みが確立されているのである。
【次ページ】強さの秘密2:徹底された多面的な顧客管理(ナーチャリング)のカイゼン
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