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- 2019/02/12 掲載
RPA導入、どう生かす?大手5社が教えるホントのところ
前編はこちら(この記事は後編です)
欧米の先進企業から学ぶ事、日本と欧米との違いとは
(アビームコンサルティング 安部慶喜氏)──RPAは日本で今すごい勢いで導入されていますが、海外は一歩先に進んでいると言われています。欧州でのRPAの取り組みをしている先進企業に日本企業が学ぶ点があるとしたら、どんな点でしょう。Blue Prism 千原寛幸氏:Blue Prismは2001年創業、世界で最初にRPA製品をリリースした会社です。最初のお客さまは世界で10の指に入るイギリスの大手金融機関。そのため、セキュリティやガバナンス、可用性、監査対応などの対応はマストだったため、そういう機能を最初から考慮して開発しています。
日本のお客さまは働き方改革という文脈で、導入されることが多いですね。残業時間を減らすために試してみる。セキュリティやスケーラビリティ、ガバナンスという機能よりも、スモールスタートできることを重視しています。
国内でRPAの導入はここ1~2年で進んでいますが、その95%ぐらいが数台規模で試している状況です。一歩先に進んでいる欧州では数十台は当たり前で、1000台を超える規模で導入しているお客さまもたくさんいます。
つまり欧州の企業は単純にRPAをバックオフィスの定型業務を自動化しコスト削減するという単純なツールではなく、CSを向上させ、企業の本業に影響する価値を提供する、戦略的なツールとして捉えているのだと思います。
──オートメーション・エニウェアは米国市場でRPAを一気に浸透させました。米国のRPAの市場と日本の市場の差について教えてください。
オートメーション・エニウェア・ジャパン 杉原博茂氏:米国企業はビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の活用が進んでいます。そこでシェアードビジネスを本業とする企業は一気にRPAを導入し、競争力を向上させました。1ボットで人間2人分働くRPAを1万ボット導入すると、2万人の従業員をアドオンしたと同じだけの競争力を付けることができるからです。
お客さまの重要なデータを預かるため、欧州同様高いセキュリティ機能やガバナンス機能が求められますが、米国企業が一番重視するのは、スケールするかどうか。日本もこのあと3年内にRPAツールの本格導入が進み、米国のようにスケールしていくことと予想しています。その際のポイントは、全従業員の何パーセントをデジタルワーカーにするかという大きなビジョンを掲げることです。スケールすればするほど、時間給を下げることができますからね。しかも仕事は正確無比で、人よりもスピーディにこなしてくれるので、活用しない手はありません。
──日本もスケールしていくと。
オートメーション・エニウェア・ジャパン 杉原氏:ロボットの場合、必要なくなれば電源を切ればいいですから。勇気を持って増やしてみて、どういう効果があるかをやってみることが、今の日本企業にとっては重要なことだと思います。
──一方、Blue Prismは新しいプランをリリースされ、スモールスタートできるようになりました。なぜ、このような戦略を採ることになったのでしょう。
Blue Prism 千原氏:7月初旬にグローバルでライセンスの考え方を変更しました。それまではBlue Prismの最小購入単位は10ロボット3年契約。日本円にすると3600万円かかる計算でした。このライセンス形態ではスモールスタートしたいというお客さまにとっては敷居が高いのです。
そこで7月から1ライセンス・1年契約、120万円からスタートできるようにしました。この費用の中にはプロセスの作成、実行、管理、ログの保管、平日9時~5時の日本語サポートも含まれています。当社のツールは、同時実行しているプロセス数しかみていないので、たとえば数十プロセスあっても、稼働しているのが1プロセスであれば1ライセンスという計算です。したがってスケジューラーで上手くスケジュールを組めば、かなり低コストで導入できるはずです。
導入企業における課題と、その対応策
──導入企業での課題、およびその対応策について教えてください。NTTデータ 大塚貴徳 氏:課題は大きく2つ、全社でどう効果をだしていくか、そしてRPAのスキルを持った人材をどう育てて行くかです。ボトムアップでそれらの課題解決に取り組んだ例を紹介します。
【次ページ】RPAの課題をこう解決した:〇〇を開催、△△を活用
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