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1993年のデビュー以来、25年間にわたって数えきれないほどの番組に出演してきたロンドンブーツ・田村淳氏。当然、彼が関わってきたテレビマンも膨大だ。しかしその中で、田村氏がまた仕事をしたいと心から強く思ったのはほんのひとにぎりである。そのテレビマンたちは何がほかと違ったのか。テレビに限らず、あらゆる業界で通用する共通点があった。
リスクを背負う上司はいるか?
「若者のテレビ離れ」といわれる。実際に僕も今のテレビは、本当にお年寄り向けメディアになってしまったと痛感します。10 代はいわずもがな、30~40代ですら、エンターテイメントはスマホやネットテレビで楽しむ。テレビの前に座っているのは、おじいさんとおばあさんが主流。
それでもテレビは、全世代がお茶の間にいる前提で、番組を作っている。メインターゲットがお年寄りとわかっているんだから、高齢者向けの番組・スポンサーに振り切ればいいのに。
でもお年寄りは、当然僕らより先に亡くなっていく。だから、若い層に向けた番組作りを文化として提供していかないと、テレビ局は企業として死んでいってしまう。
テレビ局の外の僕が気づくぐらいなので、局内でバリバリに働いている世代は「何とかしなきゃ」と戦っているはずです。でもそれを受け取る 55歳以上の上司は、「よし、どんどんやれ!」とならない現実があります。
なぜって? 定年まであと数年、敢えてそんなリスクのある挑戦をするでしょうか?
挑戦より安定、退職金を無事にいただく、それだけが彼らの目標です。こんな冒険しないシステムが出来上がっているのが、日本の会社ってやつです。伸びる企業は、やはりトップの判断がずば抜けて速く、その即動ゆえ革新的なアイデアが生み出せる。
しかし、テレビ局は逃げ切り世代が全体にブレーキをかける体制にある。責任を取りたくないという一部の人たちの都合で、活きのいい若手がフルスイングできないのは不幸でしかありません。
でも、そこには光明もあります。
先日、テレビ東京の『池の水ぜんぶ抜く大作戦』のロケがあったのですが、そこで、番組Pである伊藤隆行プロデューサーの上司と挨拶を交わしました。制作番組部長の松澤潤さんです。この人がリスクを背負ったからこそ、ヒット番組がうまれたんです。考えてみてください。
「これはどういう番組なんだ?」
「池の水をぜんぶ抜く番組です」
「えっ !?」
「だから池の水を抜いて、そこに何があるかを楽しむ番組です」
「えっ !?」
こんなやり取りかがあったかは定かではありませんが、「そんな番組、数字取れるわけないだろう!」と怒鳴ってもいいところを、「責任取る」「 やってみろ」とハンコを押したんですから、すごい。松澤さんは、逃げ切ることなんて考えてない。
本人は「気づかないうちに背負わされた」と笑ってましたが、背負ったことに変わりはない。こういった気概のあるトップがいるテレビ局は、伸びるだろうし、面白い番組が作れるだろうなと感じました。
望まない環境こそ即動で打開!
会社員をやっていたら、望まない部署に異動になって、うつうつと過ごす人もいるかもしれません。でも、そんな環境でこそ、即動力(圧倒的なスピードの行動力)を発揮するテレビマンもいます。テレ東の今井豪さんです。
彼はもともとテレ東でプロデューサーをやっていたのですが、BSテレビ東京に出向になります。地上波からBSへの異動。番組の規模は小さくなる。普通だったら、腐るところです。でも今井さんは辞令をもらった瞬間、「小さい規模だからこそ、やれることあるんじゃないの?」と、バンバン動いていくんです。それを見た僕は「うわー、こんな人になりたい!」って思いましたね。
今井さんとは『田村淳のBUSINESS BASIC』という、成功を収めた若手起業家と起業を目指す学生がセッションする番組をつくっています。
そこで、僕が「福岡にいい起業家がいますよ。優秀な起業家を集めて、トークイベントができるって言っているんです。ハタチぐらいの若いヤツなんですけど、今井さん、何かできます?」と打診したんです。
【次ページ】今井豪氏はどう動いたのか?
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