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  • 2018/01/29 掲載

LCCは再び戦国時代へ? 日本の「高コスト体質」が足を引っ張るか

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利益体質への転換を果たしたLCC(格安航空会社)業界が再び乱気流に突入しようとしている。各社とも業績が頭打ちになっていることに加え、海外LCCとの価格競争も激しくなっている。今期は厳しい決算になるところが増えるだろう。
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厳しい決算が予想されるLCC、高コスト体質の日本でこれ以上の最適化は困難か?
(©Artur Grom - Fotolia)


年末年始の実績はまずまずだったが

 主要LCC4社(バニラエア、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、春秋航空日本)の年末年始期間(2017年12月28日~18年1月3日)における旅客実績は30万7439人となり、前年比で6.6%増加した。このうち国内線は21万9869人で前年比7.1%増、国際線は8万7570人で前年比5.3%増だった。訪日観光客の増加に加え、国内線の新規就航や増便によって旅客数が伸びた。

 JALの実績は国内線が1.6%増、国際線が2.7%増、ANAは国内線が0.8%減、国際線は5.0%増だったので、LCC各社は総じて健闘したといってよいだろう。

 表面上は安定飛行に見えるのだが、内実は少し違っているようだ。

 これまでLCCの中では断トツの業績を誇っていたピーチの国内線実績は4.0%減少、ジェットスターは国際線が4.1%の伸びにとどまるなど、各社の業績はまだら模様となっている。

 市場全体が拡大しているのであれば、各社とも同じような伸びを示すはずである。業績がまだら模様になっているということは、値下げ競争が激しくなり、LCC間で顧客の奪い合いが激しくなっている可能性が高い。こうした兆候は昨年の各社決算にもあらわれている。

2016年には春秋を除いて黒字化に成功

 これまで国内LCCの業績はピーチが圧倒的な水準であった。同社は2014年3月期の決算でいちはやく黒字転換を果たし、その後も順調に増収増益を重ねてきた。これを追うのがジェットスターで、同社の業績は売上高ベースではピーチを上回っており、2016年6月期には営業黒字に転換している。

 同年にはバニラも黒字を達成し、ようやくLCCの経営も軌道に乗るかと思われたが、安定飛行は長く続かなかった。

 2017年3月期におけるピーチの決算は何とか増収増益を維持したものの、営業利益は63億円と前年比2%の増加にとどまった。ジェットスターも売上高こそわずかに前年を上回ったが営業利益は減少している。バニラも一旦は黒字化に成功したが、2017年3月期は再び赤字に転落。年末年始の実績では国際線がマイナスとなっている(図1)。

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図1■主要LCC4社の業績

 春秋だけは経営がまだ軌道にのっておらず赤字経営が続いている。赤字幅は減っているが、年末年始における国内線の実績は4割も減少。一方で、国際線は2.3倍増とその違いが際立っている。

 2015年に成田-高松線から撤退し、2016年に開設した成田-関空線も運休するなど国際線の比重を高めている。同社は中国資本による日本の航空会社だが、日本に乗り入れる海外の航空会社に近い位置付けとなりつつある。

 それでは、各社の経営状況をもう少し詳しく分析してみよう。

【次ページ】カギを握るのは「イールド」と「コスト」のマネジメント、日本の高コスト体質が足を引っ張る?
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