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- 2017/11/09 掲載
クラウドソーシングは「新規事業の調整弁」へ、経営戦略に組み込まれる理由
クラウドソーシングで何を発注しているのか
クラウドソーシングの利用状況についての質問では、回答者の34人(68%)が「この一年間にクラウドソーシングを利用した」と回答した。また、このうち20人(59%)が前年に比べて発注件数を増やすと回答した。また、利用したことがない(「利用していないがこれから利用したい」と「利用したことはない」の合計)11人のうち5人(46%)に今後の利用意向があった。これらの状況から、クラウドソーシングの普及が進んでおり、今後も拡大していくと予測している。
回答者およびその周辺でクラウドソーシングを利用した際の発注内容では、「翻訳(語学)・ライティング・ネーミング」などの言語関係の内容が最も多く、全体の62%を占めた。以下、「調査(web・海外市場・アンケート」など(56%)、「デザイン・動画・マルチメディア」(32%)と続いた。
クラウドソーシングの導入事業分野は
回答者の周辺でクラウドソーシングを導入した事業分野については、「新規事業」(54%)、「主力事業」(22%)の回答が多かった。一方で、非主力事業や不採用部門での利用は少なく、クラウドソーシングは積極的な企業活動の中で活用されていることがわかった(図1)。クラウドソーシングを利用した、あるいは今後利用したいと回答した39人に、クラウドソーシングを利用した(したい)企業経営の観点での理由(複数回答)を聞くと、「経営資源の補足」(62%)、「コスト削減」(54%)、「仕事のスピードアップ(44%)が回答の上位を占めた(図2)。
クラウドソーシングは、企業が事業の拡大を図る際に経営資源を補うために利用されるとともに、コスト削減やスピードアップといった生産性向上のために利用されているという結果が出た。
「クラウドソーシングの導入」は誰が決めるのか
社内におけるクラウドソーシングの位置づけについての質問では、「必要な案件が出てきた時に使用する」が70%を占めた。一方、「業務プロセスの一環として組み込まれている」との回答は6%にとどまっており、クラウドソーシングは業務拡大時の一時的な対応としての位置づけにあることがわかるとした(図3)。この現状は、クラウドソーシングの技術上の導入理由に対する回答で、「必要な時のみ発注できる」が約6割を占めていることとも一致するという。クラウドソーシング利用の意思決定レベルについての質問では、「部門・部署レベル」が40%、「会社レベル」が18%と、組織的に利用を決めているケースが過半数を占めた。ただし、「社員個人レベル」が16%、「案件による」とする回答が20%と、組織的な対応が定まっていないケースも相当数存在する。また、導入決定の基準では、回答者の62%が「案件の金額の大小」を挙げており、通常の契約と同じ扱いになっているという。
【次ページ】なぜ経営戦略にクラウドソーシングを組み込むのか
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