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- 2017/11/09 掲載
クラウドソーシングは「新規事業の調整弁」へ、経営戦略に組み込まれる理由(2/2)
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クラウドソーシング利用、主力事業と新規事業での違い
調査結果では、企業の事業戦略とクラウドソーシングの関係を把握するため、クラウドソーシングが導入された事業分が主力事業である場合と新規事業である場合のクラウドソーシング利用の相違を分析している。サンプル数が少ないために、統計的に有意な差が見られた項目は限定的だったものの、いくつかの傾向が見られたという。まず、主力事業にクラウドソーシングを利用している場合は、7割以上が導入理由にコスト削減を挙げた。また、仕事のスピードアップを図るためという回答も多かった。このことから、主力事業における生産性向上のためにクラウドソーシングが活用されていると説明した。
一方、「自社に足りない経営資源を補うためにクラウドソーシングを導入している」という回答では、事業分野に関係なく半数近くあり(主力事業:55%、新規事業:48%)、クラウドソーシングが経営資源の補完に役割を果たしているとした(図4)。
また、クラウドソーシングの導入に関して、新規事業の場合では過半数(52%)の企業が部門・部署レベルで意思決定をしている(図5)。つまり、新規事業におけるクラウドソーシングの導入決定の多くは、組織レベルだった。これに対し、主力事業場合では、クラウドソーシングの導入は社員個人レベルでの意思決定や、案件により意思決定が異なることが多いという結果が出た。
クラウドソーシングと企業経営との関係とは
調査結果では「まとめ」として、対象者がクラウドソーシングのプラットフォームであるワークシフト・ソリューションズとつながりのある個人であるため、対象者がクラウドソーシングに何らかの関わりを持つというバイアスが考えられると説明。全体の7割近くがクラウドソーシングを利用しており、クラウドソーシングの普及拡大を示す結果が出ている。また、企業経営との関係として、次の特徴を挙げている。・クラウドソーシングは、企業の新規事業、次いで主力事業において多く活用されており、企業活動の一環として積極的に活用されている。特に、自社に不足する経営資源を補完するためにクラウドソーシングが活用されている。クラウドソーシングはスピードと柔軟性が求められる新規事業との親和性が高いため、新規事業において特に導入が進んでいると考えられる。
・主力事業においては、コスト削減やスピードアップを目的にクラウドソーシングを導入する企業が多く、クラウドソーシングは企業の生産性向上に寄与している。
・新規事業におけるクラウドソーシングの活用理由は多様であるが、その決定の多くは部門・部署レベル以上の経営に近い組織レベルである。このことから、新規事業においてはクラウドソーシングを経営戦略として活用する企業が多いと考えられる。これに対し、主力事業などの既存事業においては、現場の判断でクラウドソーシングの導入が決まっていることが多く、経営戦略としてのクラウドソーシングの活用は十分でない。
・クラウドソーシングは、必要な案件が出てきた時に利用するという回答が7割あった。また、クラウドソーシングの導入理由として、必要な時のみ発注できるという回答が約5割あった。クラウドソーシングを継続的に業務プロセスの中に組み込むのではなく、業務の中の変動に対応するために活用している企業が多いものと考えられる。
また、クラウドソーシングの位置づけとして、(1)クラウドソーシングは、新規事業や一時的な業務において多く活用されている、(2)自社に不足する経営資源を補うことがクラウドソーシングの大きな役割となっている、(3)コスト削減や仕事のスピードアップを通じて企業の生産性向上にも寄与している、(4)主力事業では、コスト削減のために現場レベルで利用されることが多く、前向きな経営戦略としての活用は十分でない、という、4つの傾向を挙げている。
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