• 会員限定
  • 2016/11/24 掲載

売上2500億超のアズビル、経費削減“1億円”を見込む「AWSでのSAP導入法」を明かす

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
アズビルは現在、グループ会社を含めて1万人弱の社員を抱える企業である。ビルの空調設備や、工場プラットフォーム関連の事業でよく知られており、2016年3月期の連結売上高は2569億円に上る。同社は長らくオンプレミスでSAPを利用してきたが、いくつかの課題からクラウドへの移行を決意。最終的に選択したのがAWSだった。導入までの背景や、4年間で約1億円とも試算された経費削減効果など、同社の業務システム部 運用管理Gr グループマネージャ松原 健氏が明かした。

photo
アズビル 業務システム部 運用管理Gr グループマネージャ
松原 健氏

SAPの利用ユーザーは約1万名、42,000SAPS

 アズビルは1906年(明治39年)に創業した「山武商会」を母体に持ち、「山武ハネウエル」として長年、親しまれてきた。現在、グループ会社を含めて1万人弱の社員を抱える企業である。国内に9社(約200拠点)、海外に27社のグループ会社を持ち、BtoBの会社として知られている。ビルの空調設備や、工場プラットフォーム関連が主な事業だ。

 2016年6月に開催された「AWS Summit Tokyo 2016」に登壇した松原氏は、AWS上でSAPの本番環境、稼働を決定するまでの背景と、稼働後、約1年経過しての結果報告を行った。松原氏は業務システム部に所属しているが、同部はアズビルグループ全体のIT整備だけでなく、ITを用いた業務全体の最適化、およびセキュリティ確保を担っている。その中でも基幹システムの運用・管理、および業務システム部の人事管理・予算管理を行う「運用管理グループ」に所属しており、グループマネージャという肩書を持つ。

 同社がそもそも基幹システムとしてSAPを導入した目的は、以下の3つであるという。

1. グローバル事業展開目標増強
2. 事業変化への柔軟な対応力強化
3. IFRS対応

 導入までの背景だが、同社の会計は2005年よりSAP R3のFI、COを利用していた。また社内では、

・アドバンスドオートメーション=FACOM+Windowsサーバ
・ビルシステム=AS400=Windowsサーバ
・工場生産=NEC ACOS

 といった3つの基幹システムを利用。部分最適化され安定性は高いものの、柔軟性に乏しい状況だった。加えて、これまでクラウドは利用したことがなかった。

 SAPのシステム構成としては、利用ユーザーが約10,000名(同時1,000名)で42,000SAPSあり、それなりに大きなものとなっている。SAPのモジュールとしては、ERP(SD、MM、PP、PS、FI、CO)などが入っているかたちだ。

サイジング、コスト面、安心感の3つがきっかけでクラウドを検討

 松原氏はクラウドを検討するきっかけとして、次の3つを例に挙げた。

1. サイジング
2. コスト面
3. 安心感

 まずサイジングだが、SAPのサイジングが困難だったことに加え、導入資産の利用期間の縛り、H/Wリソース追加の制約があった。

 次にコスト面だが、BCP(Business Continuity Plan)対応。特に今回はグローバルの基幹システムということもあり、異なる場所でのバックアップサイトが必須だった。たとえば、3.11(東日本大震災)や熊本地震のようなことがあったからと言って、日本以外、たとえばヨーロッパで売り上げがあげられないというわけにはいかない。

 最後の安心感だが、クラウド利用の実際の運用事例が増えてきたことで、本番環境で動かしても大丈夫であるとの判断ができた。

 一般にクラウドは、下記のようなシステムに最適とされている。

1. リソース予測が困難で適宜変更が必要なシステム
2. リソース利用量が季節的要因で大きく変わるシステム
3. 高いセキュリティを必要としない
4. インフラ導入の予算がない

 したがって、クラウド適性の観点からはF1システムのような基幹システムは不可能ではないが、不向きであると判断される。インフラ担当者、とくに製造業の方は非常にまじめな方が多く、どうしても保守的になってしまい、クラウドは否定的であったという。

 しかし、昨今のクラウドは、下記のような状況になってきた。

1. リソース変動はクラウド選定の大きな理由でなくなってきている。
2. バーチャルプライベートに関しては、セキュリティは確保できる。
3. 物理セキュリティはクラウドの方が安全である。
4. クラウドファースト(クラウドにできない明確な理由がなければ、クラウドで稼働させる)という企業も増え始めている。

 実際、SalesForceのような営業状況や、カンパニー(ワークス)のような人事情報もクラウドで稼働させることが増えてきている。クラウドでも、セキュリティは十分であるという世の中になってきた。

 しかしながら、インフラ担当者には不安があるため、クラウドとオンプレミスの比較を行うことになったという。

【次ページ】 経費はクラウド(AWS)とオンプレミスでどう変わるのか?
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます