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- 2016/08/24 掲載
「ぴあ」がインバウンド戦略に危機感、タイムリミットは「東京オリンピック」
インバウンドの核「ライブ・エンタメ」の課題
たとえばコンテンツについては、海外展開のために、どんなニーズがあるのかを考えなければならない。「グローバル市場を最初から視野に入れて、クールジャパンや伝統芸能だけでなく、ノンバーバル(非言語)なパフォーマンスや新技術を駆使したコンテンツづくりも求められるでしょう」(笹井氏)
プロモーション面でもインバウンドの興味を分析し、日本独自のコンテンツを発信したいところだ。実際に集客ができても、彼らを収容する会場がなければ始まらない。そこで会場整備も急務といえる。また観光後に何か舞台を見る際には、チケットの購入方法や販売所の情報、多言語対応化など、ソフト面の充実も重要だ。一方で、ハード面ではブロードウェイのように、そこに行けば必ず何かを楽しめるような集積エリアがあれば便利だ。
笹井氏は「このように国内のライブ・エンタメ市場を成長させるために、やるべき課題は山積みになっている」とし、まず国内外の現状について分析した。
外国人観光客向けライブ・エンタメ事例
笹井氏は、日本から海外に出るアウトバンドについて触れた。アニソン歌手やビジュアル系バンドなど、海外活動を行うアーティストの推移は2012年で174名、それが2014年には204名(SYNC MUSIC調べ)と漸増している。昨年は、少女3人組のヘビーメタルバンド・BABYMETALがビルボードで総合39位という快挙を成し遂げた。これは坂本九の「Sukiyaki(上を向いて歩こう)」以来の快挙だ。音楽以外でも海外展開は進んでいる。最近では「NARUTO」「セーラームーン」「ベルサイユのばら」といった日本アニメや漫画が舞台化された「2.5次元ミュージカル」や、宝塚歌劇、和太鼓などの伝統芸能も人気を博している。「ただし、まだ日本のアーティストは海外ライブで十分に外貨を稼げるほど、ビジネス的な成功を収めていない状況です」(笹井氏)
一方、インバウンドのマーケットを意識した劇場やパフォーマンスは、まだ国内でも数が少ないのが実情だ。そんな中で、旅行やホテルに関する口コミサイト「トリップアドバイザー」において、外国人の人気ランキングで第2位になった「ギア‐GEAR-」というパフォーマンスがある。
「京都の小劇場で毎日開催されているが、2015年6月に1000回公演を達成し、延べ6万人を動員しています。ギアの一番の特徴は、言語を用いないノンバーバルなパフォーマンスであることです。パントマイム、マジック、ジャグリング、プロジェクションマッピングなど、いろいろな要素が混ざり、斬新なパフォーマンスになっています」(笹井氏)
もう1つユニークなのが、渋谷にある2.5次元ミュージカル専用劇場「AiiA 2.5 Theater Tokyo」だ。原作アニメも人気もあり、外国人に人気がある。英語でチケットを購入できるサイトも用意され、多言語対応字幕システムを使った字幕メガネを1,000円で貸出し、最大4言語に対応。このような外国人を意識した取り組みは、インバウンドを呼び込むための大きなヒントになりそうだ。
【次ページ】タイムリミットは「東京オリンピック」
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